「林相改良」を中止へ
update 2003/12/8 10:06
厚沢部町の土橋自然観察教育林(レクの森)の整備事業をめぐり、同町と事業委託を受けている檜山支庁は6日、土砂災害の防止や入山者の安全確保を目的に森林の間伐を進める「林相改良」事業を中止する方針を明らかにした。同日、緑町コミュニティーセンターで開いた町民説明会で、同町の笹谷勝博助役らが説明した。
同町などは11月に行った現地調査の結果、同森に天然記念物のクマゲラが営巣している可能性が高いと判断。本年度実施予定の林相改良(5.4ヘクタール)を中止。来年度実施分(44ヘクタール)も中止の方向で林野庁と協議する。
来年度は、同森東側の畑内川改修工事として未着工部分約50メートルの整備を継続。世界各地の樹木を集めた「見本林」地区での多目的広場、遊歩道整備などの事業は、住民の意見を参考に計画を再検討する方針を示した。
今後の事業計画について同助役は、同森入口にある旧営林署跡地の活用を検討している「レクの森周辺整備構想策定委員会」(石川三郎委員長)に、基本構想の策定を要請する意向を示した。
争点だった林相改良を中止する一方、本来の事業目的だった危険な倒木からの入山者の保護、土砂災害防止など、安全性や防災機能をどのように高めていくのかが課題として残された。
説明会では、強風時などの入山制限や危険情報の周知を行うことで、入山者の安全確保を図る方向で、行政と住民の意見はほぼ一致した。
だが、中長期的な治山対策については行政、住民側とも具体的な代替策を見いだしていない。
関係者からは「植生が混みあい倒木も多い。現状では今後数十年で荒廃が進む懸念がある」との指摘もある。森林の荒廃を招く原因の解明を含め、土壌や植生などの幅広い学術的調査を行い、貴重な天然林の保存と治山・防災対策の両立を目指す必要がありそうだ。
提供 - 函館新聞社
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