小児科診療日誌/かみいそこどもクリニック 渋谷好孝先生/こどもと発熱

update 2003/12/8 10:05

 上磯町に小児科を開業しました。多くのお子さんたちに出会い、日々楽しく診療させていただいております。11月下旬から発熱と嘔吐(おうと)・下痢を伴う胃腸炎が流行しているようで、せっかくせきと鼻が治ったのにまた病院通いをしなければ! と思われているでしょう。

 毎月のように発熱をして…という心配をよそに、診察が終わると元気にプレールームに突進する子。子どもって正直だなぁ、熱を出すのが仕事だもん。お母さんの気持ちも分からないことはないけど、薬で症状を和らげて、後は子どもの元気さで治すんだ! そんなことを心の中で思っています。

 熱が出る原因はさまざまですが、ほとんどが抗生物質を必要としないウイルス感染です。風邪の症状を出すウイルスはよく知られているもので230ぐらいあるとされており、毎月1つずつかかったとしても全部かかるのに20年近くかかります。

 こどもは元気の塊ですから、熱が出ていても元気がよければ多くの場合、心配するようなことはありません。「うちの子は40度なんです!」とお母さんは今にも泣き出しそうですが、熱の高いことと、病気の重いことはいつも一緒ではありません。どうしても熱の高さに一喜一憂してしまいますが、医者の側で知りたいことは熱の経過もさることながら、「普段の状態と比べて元気があるのか、ないのか」なのです。いつもそばにいて子どもの状態をよく見ているお母さんやお父さんしか分からないことを、診る側に伝えて診療の一助にしてください。

 熱が出たときには、体を冷やしてあげること、水分を普段より多めに補給させること、掛け物や着る物を調節して体に熱がこもらないようにしてあげること―が大切です。ここまでしてそれでも熱でつらそうなら、座薬などの熱冷ましを使ってあげてください。熱が下がって少し元気が出てきたから―と安心しないで、水分補給に努めてください。そして、熱が下がったらちょっとだけ体力の回復を待ってから普段の生活に戻してください。次の風邪のウイルスに戦う力を蓄えるためにも。

提供 - 函館新聞社



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