東遊奇勝の中巻復刻
update 2003/11/25 12:36
江戸時代の蝦夷紀行誌「東遊奇勝」(渋江長伯著、全13巻、市立函館図書館蔵)の復刻に取り組んでいる青森県十和田市の山崎栄作さん(59)がこのほど、原本の6巻から10巻分を中巻「蝦夷編」としてまとめ、500部を自費出版した。半分が絵図で、箱館の風景やアイヌ民族の姿を詳細に描いている。山崎さんは「200年余り前の北海道を知る貴重な史料。歴史絵本として多くの人に紹介したい」と話している。
今年3月に発行した上巻(原本の1―5巻分)で江戸から松前までを紹介。中巻では松前から福島、知内、和泉沢(木古内)、戸切地(上磯)、箱館、大野、サワラ、ヱトモ(室蘭)を経て、静内、浦河、広尾などから厚岸までに至る行程を伝えている。
絵図は193あり、うち28あるカラー絵図で箱館の全景などを精密に描いている。その正確さは、大沼を描いた駒ケ岳の形からもうかがえる。山体が吹き飛んだ寛永の大噴火(1640年)後の姿で、現在とほぼ同じ形で描写されている。
アイヌ民族の顔や入れ墨をした女性の腕などを色を使って正確に描写した絵もあり、山崎さんは「道もない、泊まる所もない行程で、アイヌ民族の大きな集落で休み、お世話になっていたことが分かる」と語る。
同図書館の協力で原本のまま複写して復刻した。寄贈を受けた同図書館の中山公子館長は「解読文や解説も加えて復刻いただき、多くの利用者が閲覧できるようになり、非常にありがたい」と感謝している。
A5判、502ページ、箱入り。上下巻とも1巻6500円の実費で頒布している。問い合わせは〒034―0001、青森県十和田市三本木北平147の242、山崎栄作さんTEL0176・22・5424。
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東遊奇勝(とうゆうきしょう) 1799年に蝦夷地を直轄した江戸幕府が、医師の渋江長伯(1760―1830年)に蝦夷地の本草(漢方薬)学を調査するよう命じ、長伯が調査隊34人を率いて探索した日誌。江戸から松前、箱館を経て、室蘭から太平洋岸を北上し、釧路管内厚岸町までを181日間かけて往復調査した。蝦夷地の行程には現在の28市町村が登場する。
提供 - 函館新聞社
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