骨肉の争い脱却できず
update 2003/11/11 10:23
「やっぱり保守の分裂に尽きるな」―。金田誠一(民主)の当選が決まった9日夜、佐藤健治(自民)、前田一男(無所属)の選対幹部が、異口同音に敗因をつぶやいた。
政権与党の代議士を求める地元の声が強い中での共倒れ。佐藤孝行―阿部文男(ともに元衆院議員)がしのぎを削った中選挙区時代から引きずる佐藤派と反佐藤派の骨肉の争いから、今回も脱却できなかった。
父孝行の後継として出馬した佐藤は、孝行の“ゴリ押し”ともとれる不透明な党公認候補擁立劇と世襲への批判にさらされた。一方の前田も、無所属とはいえ、旧阿部派らが取り巻き、「無色透明」のイメージを消し去られてしまった。
新顔の2人に残されていたのは、中選挙区制時代からの“負の遺産”。ともに意図した構図ではなく、ジレンマを感じていたに違いない。
ある経済界関係者は「熱烈な信者(支持者)以外、今回の選挙はしらけた」とこぼした。函館商工会議所の政治団体「日本商工連盟函館地区連盟」が佐藤、前田の双方を推薦したのは、両者というより「選挙」そのものから距離を置いた表れでもある。
次期衆院選に向け、再構築が始まる。佐藤は再出馬の意向を示し、保守一本化については「これまで通りオープンドア(来る者は拒まず、去る者は追わず)」と、融和策を打ち出してはいない。
しかし、佐藤が自民党道8区支部長の座にとどまり、次回も公認候補として出馬することを疑問視する見方もある。
ある経済人は「一般論」としたうえで「自民党は小選挙区で2連敗すれば支部長交代となる。孝行は前々回の1996年は比例で復活したが、佐藤親子で今回、小選挙区3連敗となった。負けるにしても、前田と大差をつけなければ評価されない」と指摘する。佐藤と3位の前田の票差は1万9000票余りだ。
一方の前田も「今後は支援者と話し合って決めるが、政治への思いは変わらない」と、政界進出の意欲を見せる。ただ、前田は佐藤派から“保守分裂の元凶”とみなされている。次回の公認も、現時点では佐藤派が絶対に許さないだろう。
ただ、前田の強みは自民党総裁派閥(森派)とのパイプ。保守系落選の中、現時点では非主流派の佐藤(亀井派)よりも、前田が優位にあるという見方もできる。
両者の思いは対立再燃の序章になりかねない。そうした中で「次は色の付いていない人を立てないと」という動きも出てくる可能性も高い。佐藤でも前田でもない、真に「無色透明な第3者」の模索だ。保守層の一部では、こうした声が臨界点に達しつつある。保守のねじれ解消へ向け、胎動が始まる。(文中敬称略)(喜多真哉、千葉卓陽)
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衆院道8区は金田氏の前に、新顔の保守系2氏が敗れる結果に終わった。辛酸をなめた保守系は次回以降の選挙でどう動くのか、対する民主党側の反応は―。選挙直後の表情を追った。
提供 - 函館新聞社
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