民主・金田氏4選
update 2003/11/10 11:48
第43回衆院選は9日、投票が行われ、即日開票の結果、道8区は比例道ブロックからくら替えとなった民主党前職の金田誠一氏(56)が、自民党元職佐藤孝行氏の二男で、同氏の地盤を引き継いだ同党新人の佐藤健治氏(46)に約3万票差をつけ、4選を果たした。道8区から道4区(後志管内、札幌市手稲区)に国替えし、比例道ブロック1位で重複立候補した民主党元職の鉢呂吉雄氏(55)は小選挙区で勝利し、5回目の当選となった。
金田氏は中選挙区時代の1993年に旧道3区(定数3)から初当選。その後、比例道ブロックで2回当選し、今回、初の小選挙区挑戦で4回連続当選を果たした。道8区での民主党による議席確保は3回連続となる。
函館市職労出身の金田氏は、民主支持層を手堅くまとめ、大票田・函館市でも幅広い支持を受けた。さらに鉢呂氏後援会が終盤、活動を引き締めたことも奏功し、佐藤氏が圧倒的に強い地盤の渡島・桧山の町村部で大差をつけられなかったことにつながった。
ただし、前回(2000年6月)、鉢呂氏が獲得した12万票には約2万票届かず、佐藤氏と無所属新人の前田一男氏(37)に分裂した保守陣営の“敵失”という印象はぬぐえない。
自民党道連の公募で選ばれ、党公認として立候補した佐藤氏は、渡島・桧山の町村部では安定した戦いを展開。終盤には比例代表との連携を視野に入れた公明党の支援も取り付けた。
しかし、課題とされた都市部の一部で前田氏にも競り負けるなど伸び悩んだ。特に函館市での得票数は、前回、孝行氏が取った約5万票に遠く及ばず、保守分裂のあおりをまともに受けた。
自民党道連の公募に漏れながら、同党森派の支援を受けた前田氏は、得票数3位に終わったとはいえ、同党公認の佐藤氏に2万票差に迫る善戦。都市部の上磯、七飯、大野3町では金田氏に続く票を獲得し、訴え続けた「若さ」と「清新さ」は、都市部を中心に支持を集める結果となった。
共産党新人の伏木田政義氏(56)は精力的に街頭演説を繰り返し、「暮らしを守る」を政策の柱に野党色をPR。しかし、浮動票を取り込むまでには至らず、前回衆院選(約2万6000票)から約1万票減らし、他3氏の激しい戦いの中で埋没した。(衆院選取材班)
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◎解 説
道8区の有権者は三たび、民主党に道南のかじ取りを託した。金田誠一氏は小選挙区初の挑戦で有力2候補を退けた。しかし、最大の勝因は「保守分裂」。佐藤健治、前田一男両氏が獲得した合計票数は12万9882、金田氏は10万6709。単純比較だが、金田氏は謙虚に受け止めるべきだろう。民主党は相手の失策に乗じて加点し、保守陣営は「取れる見込みのある議席」を調整の失敗から敵陣に献上した―とも言える。
金田氏は比例代表からのくら替えで、鉢呂氏の地盤引き継ぎに不安を抱えていた。加えて鉢呂氏後援会との確執や、公示直前の直系道議逮捕などもあり、陣営は相当の危機感を持って選挙戦に臨んだ。前回選挙での鉢呂氏の得票からの目減りを最小限に抑えるのが、勝利への絶対条件だった。
金田氏は組織票を手堅くまとめ、無党派層への浸透も佐藤、前田両氏に後れを取らなかった。独自の人脈から「公明票の2割を固めた」(関係者)とさえ言われる。
佐藤氏は、自民党公認候補者選考の不透明さや父孝行氏からの世襲などで、批判の矢面に立たされた。選挙戦の終盤、公明党の支援を取り付けるなど猛追したが、引き裂かれた保守票を取り戻せなかった。
前田氏も自民党森派や地元有力経済人が後押しし、善戦したが、大きなうねりは起きなかった。ただ、「無名に近い無所属候補が自民党公認候補に肉薄し、次につながる戦い」と評価する声も多い。
選挙のたびに「大同団結」を叫ぶものの、同じ轍(てつ)を踏む保守陣営。マニフェスト(政権公約)選挙のさなか、政策論議を置き去りにした“お家騒動”に有権者の不信感は増し、それが投票率の低さにも表れた。
相手に救われたとはいえ、道南唯一の衆院議席を預かる金田氏にかかる重責は従来以上に大きい。舞台は国政だが、低迷する道南経済や雇用問題など、解決しなければならない地域課題は山積している。民意は何よりも結果を求めている。 第43回衆院選は9日、投票が行われ、即日開票の結果、道8区は比例道ブロックからくら替えとなった民主党前職の金田誠一氏(56)が、自民党元職佐藤孝行氏の二男で、同氏の地盤を引き継いだ同党新人の佐藤健治氏(46)に約3万票差をつけ、4選を果たした。道8区から道4区(後志管内、札幌市手稲区)に国替えし、比例道ブロック1位で重複立候補した民主党元職の鉢呂吉雄氏(55)は小選挙区で勝利し、5回目の当選となった。
金田氏は中選挙区時代の1993年に旧道3区(定数3)から初当選。その後、比例道ブロックで2回当選し、今回、初の小選挙区挑戦で4回連続当選を果たした。道8区での民主党による議席確保は3回連続となる。
函館市職労出身の金田氏は、民主支持層を手堅くまとめ、大票田・函館市でも幅広い支持を受けた。さらに鉢呂氏後援会が終盤、活動を引き締めたことも奏功し、佐藤氏が圧倒的に強い地盤の渡島・桧山の町村部で大差をつけられなかったことにつながった。
ただし、前回(2000年6月)、鉢呂氏が獲得した12万票には約2万票届かず、佐藤氏と無所属新人の前田一男氏(37)に分裂した保守陣営の“敵失”という印象はぬぐえない。
自民党道連の公募で選ばれ、党公認として立候補した佐藤氏は、渡島・桧山の町村部では安定した戦いを展開。終盤には比例代表との連携を視野に入れた公明党の支援も取り付けた。
しかし、課題とされた都市部の一部で前田氏にも競り負けるなど伸び悩んだ。特に函館市での得票数は、前回、孝行氏が取った約5万票に遠く及ばず、保守分裂のあおりをまともに受けた。
自民党道連の公募に漏れながら、同党森派の支援を受けた前田氏は、得票数3位に終わったとはいえ、同党公認の佐藤氏に2万票差に迫る善戦。都市部の上磯、七飯、大野3町では金田氏に続く票を獲得し、訴え続けた「若さ」と「清新さ」は、都市部を中心に支持を集める結果となった。
共産党新人の伏木田政義氏(56)は精力的に街頭演説を繰り返し、「暮らしを守る」を政策の柱に野党色をPR。しかし、浮動票を取り込むまでには至らず、前回衆院選(約2万6000票)から約1万票減らし、他3氏の激しい戦いの中で埋没した。(衆院選取材班)
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◎解 説
道8区の有権者は三たび、民主党に道南のかじ取りを託した。金田誠一氏は小選挙区初の挑戦で有力2候補を退けた。しかし、最大の勝因は「保守分裂」。佐藤健治、前田一男両氏が獲得した合計票数は12万9882、金田氏は10万6709。単純比較だが、金田氏は謙虚に受け止めるべきだろう。民主党は相手の失策に乗じて加点し、保守陣営は「取れる見込みのある議席」を調整の失敗から敵陣に献上した―とも言える。
金田氏は比例代表からのくら替えで、鉢呂氏の地盤引き継ぎに不安を抱えていた。加えて鉢呂氏後援会との確執や、公示直前の直系道議逮捕などもあり、陣営は相当の危機感を持って選挙戦に臨んだ。前回選挙での鉢呂氏の得票からの目減りを最小限に抑えるのが、勝利への絶対条件だった。
金田氏は組織票を手堅くまとめ、無党派層への浸透も佐藤、前田両氏に後れを取らなかった。独自の人脈から「公明票の2割を固めた」(関係者)とさえ言われる。
佐藤氏は、自民党公認候補者選考の不透明さや父孝行氏からの世襲などで、批判の矢面に立たされた。選挙戦の終盤、公明党の支援を取り付けるなど猛追したが、引き裂かれた保守票を取り戻せなかった。
前田氏も自民党森派や地元有力経済人が後押しし、善戦したが、大きなうねりは起きなかった。ただ、「無名に近い無所属候補が自民党公認候補に肉薄し、次につながる戦い」と評価する声も多い。
選挙のたびに「大同団結」を叫ぶものの、同じ轍(てつ)を踏む保守陣営。マニフェスト(政権公約)選挙のさなか、政策論議を置き去りにした“お家騒動”に有権者の不信感は増し、それが投票率の低さにも表れた。
相手に救われたとはいえ、道南唯一の衆院議席を預かる金田氏にかかる重責は従来以上に大きい。舞台は国政だが、低迷する道南経済や雇用問題など、解決しなければならない地域課題は山積している。民意は何よりも結果を求めている。 第43回衆院選は9日、投票が行われ、即日開票の結果、道8区は比例道ブロックからくら替えとなった民主党前職の金田誠一氏(56)が、自民党元職佐藤孝行氏の二男で、同氏の地盤を引き継いだ同党新人の佐藤健治氏(46)に約3万票差をつけ、4選を果たした。道8区から道4区(後志管内、札幌市手稲区)に国替えし、比例道ブロック1位で重複立候補した民主党元職の鉢呂吉雄氏(55)は小選挙区で勝利し、5回目の当選となった。
金田氏は中選挙区時代の1993年に旧道3区(定数3)から初当選。その後、比例道ブロックで2回当選し、今回、初の小選挙区挑戦で4回連続当選を果たした。道8区での民主党による議席確保は3回連続となる。
函館市職労出身の金田氏は、民主支持層を手堅くまとめ、大票田・函館市でも幅広い支持を受けた。さらに鉢呂氏後援会が終盤、活動を引き締めたことも奏功し、佐藤氏が圧倒的に強い地盤の渡島・桧山の町村部で大差をつけられなかったことにつながった。
ただし、前回(2000年6月)、鉢呂氏が獲得した12万票には約2万票届かず、佐藤氏と無所属新人の前田一男氏(37)に分裂した保守陣営の“敵失”という印象はぬぐえない。
自民党道連の公募で選ばれ、党公認として立候補した佐藤氏は、渡島・桧山の町村部では安定した戦いを展開。終盤には比例代表との連携を視野に入れた公明党の支援も取り付けた。
しかし、課題とされた都市部の一部で前田氏にも競り負けるなど伸び悩んだ。特に函館市での得票数は、前回、孝行氏が取った約5万票に遠く及ばず、保守分裂のあおりをまともに受けた。
自民党道連の公募に漏れながら、同党森派の支援を受けた前田氏は、得票数3位に終わったとはいえ、同党公認の佐藤氏に2万票差に迫る善戦。都市部の上磯、七飯、大野3町では金田氏に続く票を獲得し、訴え続けた「若さ」と「清新さ」は、都市部を中心に支持を集める結果となった。
共産党新人の伏木田政義氏(56)は精力的に街頭演説を繰り返し、「暮らしを守る」を政策の柱に野党色をPR。しかし、浮動票を取り込むまでには至らず、前回衆院選(約2万6000票)から約1万票減らし、他3氏の激しい戦いの中で埋没した。(衆院選取材班)
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◎解 説
道8区の有権者は三たび、民主党に道南のかじ取りを託した。金田誠一氏は小選挙区初の挑戦で有力2候補を退けた。しかし、最大の勝因は「保守分裂」。佐藤健治、前田一男両氏が獲得した合計票数は12万9882、金田氏は10万6709。単純比較だが、金田氏は謙虚に受け止めるべきだろう。民主党は相手の失策に乗じて加点し、保守陣営は「取れる見込みのある議席」を調整の失敗から敵陣に献上した―とも言える。
金田氏は比例代表からのくら替えで、鉢呂氏の地盤引き継ぎに不安を抱えていた。加えて鉢呂氏後援会との確執や、公示直前の直系道議逮捕などもあり、陣営は相当の危機感を持って選挙戦に臨んだ。前回選挙での鉢呂氏の得票からの目減りを最小限に抑えるのが、勝利への絶対条件だった。
金田氏は組織票を手堅くまとめ、無党派層への浸透も佐藤、前田両氏に後れを取らなかった。独自の人脈から「公明票の2割を固めた」(関係者)とさえ言われる。
佐藤氏は、自民党公認候補者選考の不透明さや父孝行氏からの世襲などで、批判の矢面に立たされた。選挙戦の終盤、公明党の支援を取り付けるなど猛追したが、引き裂かれた保守票を取り戻せなかった。
前田氏も自民党森派や地元有力経済人が後押しし、善戦したが、大きなうねりは起きなかった。ただ、「無名に近い無所属候補が自民党公認候補に肉薄し、次につながる戦い」と評価する声も多い。
選挙のたびに「大同団結」を叫ぶものの、同じ轍(てつ)を踏む保守陣営。マニフェスト(政権公約)選挙のさなか、政策論議を置き去りにした“お家騒動”に有権者の不信感は増し、それが投票率の低さにも表れた。
相手に救われたとはいえ、道南唯一の衆院議席を預かる金田氏にかかる重責は従来以上に大きい。舞台は国政だが、低迷する道南経済や雇用問題など、解決しなければならない地域課題は山積している。民意は何よりも結果を求めている。
提供 - 函館新聞社
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