三和事件大詰め

update 2003/11/6 10:18

 函館市内の産業廃棄物処理業者「三和廃棄物処理産業」(現・清算法人)の不法投棄事件にかかわる、一連の「三和問題」が大詰めを迎えている。市と地域住民は先月に「東山・山の手地区まちづくり協議会」を立ち上げ、解決への糸口を模索しだした一方、三和の元役員が経営し、原状回復作業を実質的に行う食品会社「白樺」が廃棄物処理業許可を市に求めていることが明らかになり、住民側は「住民感情を考えていない」と猛反発。市の結論によっては大きな波紋を呼ぶことは必至で、今後の動きは予断を許さない情勢となっている。(千葉卓陽、後藤泰良)

 「白樺」はこれまで、市が将来の許可を確約してくれることを前提に、現在までに金融機関から約1億1300万円を調達している。市は当初10月中に方針を決めるとしていたが、「市民要望を把握した上で決めたい」(環境部)として、決定を先延ばしした。

 白樺に許可を与えなかった場合は、国からの補助金を受け、行政代執行による原状回復をがわれる。市は「代執行までに事務手続きで3、4年かかり、不法投棄が放置される」と主張し、代執行を避けたい意向を示す。

 しかし、住民側は「市の不手際で起きた事件であり、代執行はやむを得ない」と主張。「血税を使うことになっても仕方がなく、排出業者に負担させればいい」との意見が大勢を占める。

 ただ、排出者責任を問うためには、〈1〉不適正処理を知っていた〈2〉不当に安い価格で処理を委託した―といった条件が必要となる。さらにマニフェスト(産業廃棄物管理票)が警察に証拠として押収されており、市は閲覧ができない。

 主犯格の社長の行方が分からず、事件解決のめどが立たないことから、排出者責任での原状回復は難しいのが現状だ。市では「閲覧できたとしても、数万枚にも及ぶマニフェストを精査し、責任業者を特定するのは非現実的」としている。

 先月末には、三和の施設の周辺に位置する住民と市による「東山・山の手地区まちづくり協議会」が立ち上がり、議論が始まった。しかし、初会合では住民側が感情的に声を荒げる場面が目立ち、市の提示した「白樺に許可した場合の流れ」などにもまた、拙速さがうかがえた。今月7日には不法投棄現場の現地視察が行われ、その上であらためて議論を深めていくことになる。

 市議会などで新たな問題が次々と明るみに出て、事態が複雑化する中、解決に向けては市、住民の双方が各ポイントでの「妥協点」を見出すことが必要不可欠。そのためには「まちづくり協議会」など、市、住民が直接意見を交わせる場での議論の在り方が、今後のカギを握ると言えそうだ。

提供 - 函館新聞社



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