運用益確保へ外債購入
update 2003/8/13 12:11
道立工業技術センター(函館市桔梗町)を管理・運営する財団法人函館地域産業振興財団(高野洋蔵理事長)は本年度、財団の運用基金で約1億円の円建て外国債券(外債)を購入する。同財団は約20億円の基金の92%を国内債券で運用し、年間約5000万円の利益を確保しているが、2005(平成17)年度以降は同程度の運用益の維持が極めて困難な見通しとなったため。同財団は「外債購入は初めてだが、国の指針に沿って、最低でも元本割れしない安全な商品を購入したい」としている。
同財団の基金は今年3月末で20億1992万6000円。道と函館市、上磯、大野、七飯の3町と民間企業が出捐(しゅつえん)している。基金の運用益で公益的事業を行う財団法人にとって、低金利の中での運用益確保は共通の悩みだ。
同財団は1995年度から、基金の運用主体を定期預金から債券に切り替えた。比較的利率の高い頃の国債や社債を保有しているため、債券の償還満期が少ない来年度までは、一定の運用益が見込める。
運用益と平均利率は昨年度が約5400万円(2・67%)、本年度が約5180万円(2・56%)、来年度見込みが約4930万円(2・44%)。運用益は、企業への債務保証や低利融資、研究開発助成費などに充てている。
また、運用益とは別に道や函館市、周辺3町、民間企業などから補助金と研究委託料を受けている。本年度の運用益込みの当初予算は約5億100万円で、総予算の約1割を運用益が占める。
しかし、貴重な高利率債券も、2005年度には10億円を超える満期が来るという。国債に買い換えるにしても、現在は10年物で1%を切る。こうした中で、国の指導もあり、5月に開いた理事会で外債の購入ができるよう規程を変更した。
本年度は国債と政府保証債約1億円、来年度は電力債1億円強が満期となるため、同額を円建て外債に買い換える。同財団の浜谷内宏明事務局長は「国内債だけでは財源確保ができず、利率のいい外債購入を考えていく時期だろう」と語る。
実際の購入や選定はこれからだが、金融庁長官指定の格付け機関2社以上がAA以上の評価をしている商品から選ぶ予定だ。債券市場は利率が高ければ暴落のリスクも大きいため、高田元康専務理事は「為替や株価などいろいろ連動してくるが、元本を含め利率3%のAA格付け商品を想定している」と語る。
また、05年度に満期を迎える10億円以上について高田専務理事は「すべて外債というわけにはいかないと思う。全体の20億円の中で外債の割合は一定の率に抑える必要があり、今後の金融情勢も見極めながら慎重を期していきたい。いずれにしても財源確保はこれからが正念場」と気を引き締めている。
提供 - 函館新聞社
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