ノンアルコール飲料の対応に苦慮

update 2003/8/6 12:13

 低価格を武器に着実にシェアを広げているアルコール1%未満の「ノンアルコール飲料」。法的には酒類に分類されておらず未成年者が飲んでも問題はないが、函館市内小中学校の教育現場からは「飲酒の導入になる」と心配する声が出ている。市中学校長会でも「好ましくない」との意見が出たが、合法な特定商品の購入を禁止するのは難しく、教育関係者らは頭を悩ませている。

 未成年者に対する規制についての議論は少ないのが現状。「ノン―」を製造、販売しているある大手メーカーでは「未成年者がビール味になじむのは倫理的にお勧めできない。あくまで、大人のための飲料として製造している」としているが「販売については小売店の判断に委ねている」という。

 売り手側の対応もまちまちで、酒類の大手ディスカウントショップの市内のある店舗では、未成年者に対しても「ノン―」を販売。「焼酎やビールなどは、親に頼まれたといわれても断っているが、ノンアルコール商品に関しては、酒類ではないので、大切なお客様という認識で販売している」という。

 一方、酒類の販売をしている、ある市内コンビニエンスストアでは「ビール系の1%未満の商品を販売しているが、店員は全員ビールとして認識しており、未成年者への販売は一切、行っていない」と地域のニーズに応えていることをアピールする。

 共愛会病院小児科の渋谷好孝医師は「たばこが1本で甚大な影響を及ぼすとはいえないのと同じで、アルコール1%未満の飲料を飲んだからといってすぐに大きな障害が出る可能性は低い。ただ、アルコール1%未満を飲んだ子供たちが、次は3%、次は10%とエスカレートするのが怖い」と警鐘を鳴らす。

 道警函館方面本部でも「1%未満とはいえアルコールが入っており、未成年者が飲むことを推奨できない」と話し、ある幹部は「基本的には未成年者には販売もして欲しくない」との思いを明かす。

 夏休み期間中は指導の場も限られており、教育関係者は対応に苦慮。函館市の中学校長会の長谷川良任会長(湯川中)は「法的な考えは別にして、教育的見地からは生徒がアルコールを摂取することは好ましくない。1%といっても、気分が高揚し、問題行動を起こさないか心配」と話している。(後藤泰良)

提供 - 函館新聞社



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