函館でガイドヘルパー不足

update 2003/7/20 13:03

 視覚障害者の目となり、外出などを手助けするガイドヘルパーが函館で不足してきている。今年4月に施行された支援費制度で定められた「資格取得に必要な講習」を受ける場が道南にないことが大きな要因。新たに資格を取得する人が出づらいことから、各事業所とも、欠員を補充するのが困難になっている。道保健福祉部では「今後も道南での整備を検討する予定はない」としており、道南の視覚障害者などからは「弱者の切り捨てだ」と反発する声も出ている。

 ガイドヘルパーは今まで、資格が必要な職業ではなかったが、支援費制度施行で〈1〉ホームヘルパーの2級または1級の資格を持ち〈2〉道知事が認めた講習会(無料)を受講した人―との要件が定められた。制度の移行措置として、6カ月の実務経験者はこれらの資格がなくてもいいとされている。

 問題となっているのはAの講習会で、道では年に1回、定員を30人に限定した講習会を札幌で実施しているだけ。道が認めた学校や事業所で受講することも可能だが、有料となるうえ、道南には認可を受けた事業所が存在しない。一番近い所でも室蘭になってしまう。

 道保健福祉部では「北海道全体で考えるとガイドヘルパーは増加しており、今後は、道が行っている年に1回の講習の廃止も検討している」と話し、「道南に講習を受ける場がないとしても、道で何らかの措置を取る考えは現時点ではない」としている。

 函館市内で唯一、ガイドヘルパーの派遣事業を行っている市社会福祉協議会では現在、21人がパート職員として働いている。利用登録者数は71人で、うち45人ほどが頻繁に利用しているという。同協議会では「ガイドヘルパーの理想の人数は30人。利用者が増えないという前提に立っても、最低25人はいないと苦しい。既に、サービスを断るケースも出てきている」と苦しい内情を話す。

 北海道視覚障害者協議会函館支部の原田タミ支部長は「ガイドヘルパーを頼みたくても、予約で埋まり、前日に頼んでも利用できないことも多い」と現状を訴える。今後は、支庁ごとに講習会を受けられるようにするなどの方策を道に訴えていく方針だ。

 市社会福祉協議会では“年に1度のチャンス”ともいえる来月25、26日の道が行う札幌での講習会への受講を訴えるとともに、「有資格者の人は、8月下旬にパート職員を募集するのでぜひ応募を」と必死の呼びかけを行っている。

提供 - 函館新聞社



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