道南のミズダコ採捕基準引き上げ

update 2003/7/17 10:06

 9月の漁業権切り替えに合わせて変更される行使規則で、戸井町と東戸井の2漁協が変更に反対していた道南のミズダコの採捕基準が、現行の2キロ以上から3キロ以上に引き上げられることが決まった。資源保護のためだが、ミズダコの成長は早く、2キロから3キロになるまで約1カ月ともいわれる。同町漁業者は「産卵期でもないタコを1カ月延命させることで本当に資源保護になるのか」と指摘。これに対し、渡島支庁は「資源保護に不可欠な措置」と強調するなど、双方の認識の違いを浮き彫りにしている。

 戸井町は道南最大のミズダコの水揚げを誇っており、一昨年の水揚げ量は528トン(水揚げ高約2億1400万円)。2キロ以上3キロ未満のサイズは全体の1割ほどとみられるが、同町漁業者は「成長した大きいタコは沖にでてしまうので、大型の船でしか捕れない。浅いところにいるタコを小船で捕っている高齢者には大きな打撃」と指摘する。

 道南のミズダコの漁期はおおむね11月ごろから翌春ごろまでで、産卵期は6月ごろとみられている。過去の標識調査では30―40日間で2キロのタコが3キロになることが確認されている。戸井町の両漁協関係者は「2キロのタコを逃がしてもすぐ3キロになる。当然タコは移動するし、動いた先の違う組合漁業者に捕られるのでは逃がす意味がない」と憤る。

 また、ミズダコを生鮮で扱っているのはほぼ戸井町だけで、ほかは水煮などの加工品にしていることも問題点として指摘されている。実際、戸井町以外の漁業関係者からは「内臓を抜いて加工してしまえば2キロか3キロかは分からない。基準はあってもなくても同じ」との声も聞かれる。

 一方、渡島支庁水産課では「だから基準を設けず好きなように捕っていいということにはならない。調査では資源は確実に減少しており、絶対に必要な基準変更。各漁協にも最終的には納得してもらっている」と説明。その上で「基準が守られるよう徹底する必要があり、パトロールを強化するなどして、効果を高めたい」としている。

 戸井町漁協では「強く反対を続けてきたが、認められなくて残念。今後の資源量の変化を見極め、場合によっては再度、見直しを求めていく」と話している。

提供 - 函館新聞社



前のページにもどる   ニュースをもっと読む



ご注意:
●掲載している各種情報は、著作権者の権利を侵さないよう配慮の上掲載されるか、又は、各情報提供元の承諾の元に掲載されています。情報の閲覧及び利用については「免責事項」をよくお読み頂いた上で、承諾の上行って下さい。
●掲載中の情報の中には現在有効ではない情報が含まれる場合があります。内容についてはよくご確認下さい。

ページ先頭へ

e-HAKODATE .com
e-HAKODATEは、函館市道南の地域情報や函館地図、旅行観光情報、検索エンジンなど、函館道南のための地域ポータルサイトです