「駅東土地区画整理事業」30年近く凍結のまま

update 2003/7/13 10:25

 函館市が1973年度に計画した「駅東土地区画整理事業」の一部が、30年近く凍結されたままになっている。JR函館駅の北東約1・5キロに位置する中島町などの6町、計18・8ヘクタールを対象に区画整理を行う計画だが、当初から一部の地元住民が反発、対象区域のうち5・7ヘクタールで実施しただけにとどまっている。市内で凍結中の土地区画整理事業はここだけで、市は今後、施行区域の見直しなどを検討する方針。

 同事業は中島町のほか、宮前、松川、大縄、上新川、千代台の各町を施行区域として、都市計画道路などを整備する計画。中島町は商店街と家屋が混在、大縄、上新川町周辺は老朽化した木造家屋が密集しているなど、それぞれにマチづくり上の課題を抱えており、整備が必要となっていた。

 しかし、計画策定後、中島町をはじめとする地元住民が「道路整備で商店街が分断される」ことなどを理由に反対。住民らは73年12月に事業中止を求める陳情書を提出した。こうした経緯を受け、市は翌74年8月、施行区域のうち、大縄、上新川、中島、千代台町の13・1ヘクタールで事業を凍結。宮前町を中心とする残る5・7ヘクタールは、81年度までに整備を終えている。

 同事業施行区域で新たに建物を建てる場合は法律上、市長の許可が必要で、〈1〉地下を持たない2階建て〈2〉木造・鉄骨造りなどで除去が容易なもの―が条件。市は92年に定めた「市住環境整備区方針」の中で、事業を凍結しているこれらの区域を「整備促進地区」と定め、事業実施に向け住民説明会を開いたが、現段階で協議会結成には至っていないという。

 この問題は11日の市議会予算特別委員会で取り上げられ、岩谷正信委員(民主・市民ネット)が「建築に規制がかかり、不便を感じている人がいる」と指摘。市の小柏忠久都市建設部長は、計画施行区域内は各地域ごとに課題が異なるとして、「区域そのものの見直しなど、住民と話し合いながら事業手法を検討したい」と述べた。

提供 - 函館新聞社



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