共産党が伏木田氏擁立で近く臨戦態勢入り
update 2003/7/11 11:03
共産党函館、渡島・桧山両地区委員会が、10月の衆院道8区補欠選挙に、党函館地区委員長の伏木田政義氏(56)を擁立する方針を固めたことで、同党は近く臨戦態勢に入る。伏木田氏擁立の理由として党側は「すぐ戦える人」を挙げるが、選考作業は複数の候補者名が浮かんでは消えるなど、曲折を経た。当初は「継続的に戦える若手候補の擁立」を模索した経緯もあり、結果的に長老格の同氏擁立で決着をみたことは、若手育成の中長期戦略が過渡期にあることを物語っている。
「国政を左右する戦いに、候補を立てないわけにはいかない」―。同補選の候補選考の過程で、複数の両委員会幹部が、たびたび口にした。今春の函館市長選で共産が候補を立てなかったことで、「今回の補選も不戦では」との憶測が他党関係者らの間に飛び交った。「そんなことは絶対にない」と否定する共産の関係者が出した結論が、伏木田氏の擁立だった。
「不戦」の憶測の背景には、中選挙区制の旧道3区(定数3)の時代から小選挙区制の今に至るまで、共産党が地元で実績を残せていない現実がある。「勝てない選挙に出るのはいかがなものか」との指摘も一部にあるが、政策論争を強調する同党にとって、国政選挙を戦うことは党勢の維持に不可欠、との認識が関係者に根強い。特に今回は「自民ばかりか、民主も有事法制賛成しているような状況で、候補を立てないわけにはいかない」(党幹部)という思いが強かったという。
補選の候補者選考では複数の名前が上がった。しかし、個人や組織の事情を考慮する過程で数人の名前が消えた。若手を望む内部の声も強かったが、差し迫った選考スケジュールの中で、結局は「党の政策・思想を熟知した論客で、すぐ戦える人」という基準が浮上。方針を固めた後、内部から漏れたのは「結論として、伏木田さん以外いなかった」という一言だった。
今回のように共産党が国政を重視する一方で、地方選挙の比重も決して軽くはない。それはそれぞれの地区の力が試されるからだ。当然、各地区は組織の総力を注ぐ。市長選の不戦を教訓に「継続的に戦える若手育成」への取り組みは始まっているが、補選への対応を見る限り、その道のりは険しい。間断なく行われる各級選挙のはざまで、長期的な若手育成戦略をどう構築していくか、地元共産党躍進の試金石となりそうだ。
提供 - 函館新聞社
ご注意:
●掲載している各種情報は、著作権者の権利を侵さないよう配慮の上掲載されるか、又は、各情報提供元の承諾の元に掲載されています。情報の閲覧及び利用については「免責事項」をよくお読み頂いた上で、承諾の上行って下さい。
●掲載中の情報の中には現在有効ではない情報が含まれる場合があります。内容についてはよくご確認下さい。