江差港の沈没車両を引き上げ

update 2003/7/8 10:29

 【江差】江差港北ふ頭の海底で6日発見された自動車は7日、江差署と江差海上保安署が引き揚げて調べた結果、1993年7月の北海道南西沖地震の津波で海中に沈んだワゴン車であることが分かった。事件性がなく、関係者はひと安心。ところがこのワゴン車の所有者は、津波で愛車を失った後もローンを返済し、今度は引き揚げ料金まで負担しなければならなくなった。周囲からは「10年後に再び訪れた悲劇だ」と哀れむ声も上がっている。

 江差署によると、ワゴン車は当時、江差町内に勤務していた公務員の男性(49)が所有していた。地震発生時は業務のため、同港に無人で駐車していたという。

 同港では、地震直後に高さ2・7メートルの津波が押し寄せ、フェリーターミナル周辺で50台の車両が水没。船舶の航行の支障になるため、大規模な除去作業を行ったが、男性が所有する自動車の行方は分からなかった。

 関係者によると、地震当時、ワゴン車は購入から約1年の新車。被害に遭った男性は、ローン完済まで支払い続けた。10年ぶりに発見された車体の引き揚げや処分にかかる費用は、原則的に所有者負担となるため、関係者からは「踏んだりけったりの災難だ」と、同情の声も上がっている。

 7日午後2時すぎからダイバーが水深約6メートルの海底で車両を確認。大型クレーンで引き揚げた。

提供 - 函館新聞社



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