旧函館駅、駒ケ岳の石画
update 2003/7/6 15:22
JR函館駅旧駅舎の解体工事が本格化する中、駅舎の建物とともに正面入口横の壁面に飾られていた駒ケ岳の石画も姿を消す。5日には、石画を製作した川又静さん(93)=函館市湯川町3=が出席し、石画撤去の神事が行われた。川又さんにとって石画はこれまで製作した作品で一番大きな絵画。思い出深い作品との別れに、川又さんは「寂しい」と目を潤ませていた。
石画の大きさは最大で縦2メートル、横3・3メートル。駒ケ岳、大沼、小沼を形取った板に小さく砕いた石を張り付けた作品。駅舎のシンボルとして1967年12月25日に設置された。
川又さんは当時、絵画クラブ「チャーチル会」に所属。石画製作の仕事を請け負った石材会社から依頼を受けた。「ただ好きで絵を描いていただけなので、頼まれた時はびっくりしました。『はい』と返事をしてから駅に飾ることを知り、戸惑いましたが、受けた以上は最後までやり遂げようと思いました」と振り返る。
石画の形は決まっていたが、色合いは川又さんが3日間、駒ケ岳を眺めて考えた。湯川の自宅から毎日、電車に乗って、宝来町の製作現場まで通い「夢中で製作しているうちに肩が動かなくなることもありました。この場所に掲げられ、完成した時には本当にうれしかった」と笑顔を見せた。
神事には、二男の哲さん=市内湯川町在住=、哲さんの妻香保子さんと一緒に出席。川又さんは「今はチューリップを描いています」と製作活動は今も“現役”だが、「自分の作品がなくなるのは寂しいですね」とハンカチで目頭を押さえていた。
提供 - 函館新聞社
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