町会館で葬儀の動き活発化

update 2003/7/5 12:25

 人生最後の一幕は地域の会館で―。函館市内の町会で、葬儀での会館利用を増やそうと、料金を値下げしたり、利用しやすい設備を整えて建て替えや修繕をする動きが、活発化している。中には、既存の葬儀場を超える設備を整えて“本格的な経営”を考える町会も出てきている。今後の展開によっては「葬儀ビジネス」に影響を与える可能性もあり、業界関係者は動向を注視している。

 新興住宅街を抱える町会や中心地区では、カルチャー教室などの利用料が収入のメインだが、そのほかの地区では「葬儀がなくては運営が苦しいのが実情」(町会関係者)。しかし、町会館での葬儀は町会員の高齢化と逆行するように年々減少しており、苦しい経営を強いられている町会が多い。

 東川町会では、今年6月、町会館建設準備委員会を立ち上げた。老朽化が激しく、改修が必要となっているためだが、「改修では利用率向上は見込めず、さらに運営が苦しくなる」との意見が浮上。「既存の葬儀場を超える施設にしてはどうか。近隣町会からの利用も見込める」「駐車場経営も合わせて行っては」という案が持ち上がっている。

 また、日吉町会では6月の役員会で、葬儀での利用料を2万円値下げ。町会員は6万円を4万円に、町会員以外は8万円を6万円にした。今まで料金に一律に含まれていた暖房料も、使用した場合のみ5000円とし、利用しやすくした。値下げから間もなく1カ月、利用はないが、町会員などからは「地域で最期を見送りやすくなった」と評価する声が出ている。

 昨年7月、会館を新築した神山町会では約120人が入れる大広間を確保した。和室や厨房もしっかりとしたものを備え、葬儀にも利用しやすいと好評。同町会では「葬儀の数はまだ少ないが、今までよりは増えた。きれいな施設を使って、住み慣れた地域で安く、最期の別れができるのは地域住民にとって大きなこと」と利点を話す。

 こうした動きに対し、市内大手葬儀場では「すぐに影響が出るような話ではない」としながらも、「補助金などの優遇を受けて建てられた施設で、格安の“営業”をするところが増えてくれば、多少、難しくなる面もある」と注視する構えを見せている。

提供 - 函館新聞社



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