函館職業安定所移転凍結へ

update 2003/6/30 09:29

 今秋移転する函館税務署庁舎(函館市新川町)を、隣接する函館地方合同庁舎の分庁舎として活用する計画で、厚生労働省は29日までに、移転を凍結する方向で検討に入った。財政状況の悪化を理由に、2004年度予算の概算要求を見送る公算が大きい。分庁舎計画は手狭になった公共職業安定所の移転を前提にしており、白紙化されれば、跡地利用計画が中断しそうだ。

 函館地方合同庁舎は1979年の建築で、地上7階地下1階建て。函館公共職業安定所のほか、函館地方法務局、農水省函館統計情報事務所など国の出先機関が入居している。

 公共職業安定所は1、2階を使用し、延べ床面積1500平方メートル。求人検索ができるパソコンなどコンピューター導入で、手狭な状態になっている。長引く不況から利用者が増加し混雑が続き、分庁舎への移転を希望していた。

 現在の税務署庁舎は67年建築で、2階建て延べ床面積2000平方メートル。公共職業安定所が入居すれば、手狭な現状が解消されるほか、移転で他の出先機関の面積も増える計算だった。

 だが、税務署庁舎の老朽化は著しく、今後20年使用するには改修費約4億円が必要で、厚生労働省が財政難を理由に難色。道労働局の予算要望に対し「財政が大きく好転しない限り無理」との判断を示している。04年度の予算化が見送られれば、事実上、白紙撤回となる可能性が高い。

 国有地を管理する財務省は、税務署跡地を将来的な合同庁舎建て替え用地に考えており、それまでの間、公共職業安定所に充てる計画でいた。

 公共職業安定所の移転がなくなれば、分庁舎計画そのものがつまずく。合同庁舎が慢性的な駐車場不足に悩まされているだけに、建物を取り壊し、駐車場として再整備する利用法が有力視される。ただ、財政悪化を理由にした移転断念となると、売却を視野に入れた検討も否めない。

提供 - 函館新聞社



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