ブナの種子5年間の長期保存に成功

update 2003/6/13 10:53

 道立林業試験場道南支場(函館市桔梗町、秋本正信支場長)は、ブナの種子を乾燥・冷凍し、高発芽率を維持したまま5年間、保存することに成功した。液体窒素を使った長期保存例はあるが、発芽率50%以上を確保したのは国内で初めてという。ブナ種子の豊作は5年に1度しかないため、計画的な苗木生産の妨げになっていたが、今回の研究で豊凶周期を埋める長期保存法が確立。渡島半島を北限とする“郷土の木”ブナ林の再生に向け、大きな一歩といえそうだ。

 ブナは道南の代表的な樹木で、後志管内黒松内町が北限。全国的に減少の一途をたどっており、道南でも再生や保全に対する関心が高まっている。

 だが、豊作年になる間隔が長いため、種子を安定して採取することが難しい。安定供給できないだけに、道内の種苗生産業者も敬遠がちで、苗木の生産体制は脆弱(ぜいじゃく)だ。関係者からは5年以上の種子の長期保存法確立が熱望されていた。

 同支場は1997年から研究を開始。採取した種子を20度の室温下で、3日間自然乾燥させ、袋に密封してマイナス20度の冷凍庫で5年間保存した。

 2002年秋に種まきし、今年4月中旬59%が発芽。昨秋採取し、同時期にまいた種子の発芽率は62%で、ほぼ同水準の結果を得た。自然乾燥させることで、種子の水分を取り除き、冷凍した際に細胞の破壊を防いだ。

 神奈川県自然環境保全センターが2000年に、6年間の保存に成功したが発芽率は37%。これはマイナス196度の液体窒素を使った超低温貯蔵法で、「種苗業者が気軽に活用できる技術には至っていない」(同支場)という。

 試験は10年間保存まで続ける予定。同支場の長坂晶子研究員は「ブナの苗木生産は歴史が浅く、業者にとって踏み込むには勇気がいるが、この方法は確実な技術。郷土の木を再生させるために、ぜひチャレンジしてほしい」と話している。

提供 - 函館新聞社



前のページにもどる   ニュースをもっと読む



ご注意:
●掲載している各種情報は、著作権者の権利を侵さないよう配慮の上掲載されるか、又は、各情報提供元の承諾の元に掲載されています。情報の閲覧及び利用については「免責事項」をよくお読み頂いた上で、承諾の上行って下さい。
●掲載中の情報の中には現在有効ではない情報が含まれる場合があります。内容についてはよくご確認下さい。

ページ先頭へ

e-HAKODATE .com
e-HAKODATEは、函館市道南の地域情報や函館地図、旅行観光情報、検索エンジンなど、函館道南のための地域ポータルサイトです