迷走する自民・保守勢力の「候補擁立」

update 2003/6/6 09:33

 10月の衆院道8区補欠選挙で、自民党・保守勢力の候補擁立が迷走している。自民党道第8選挙区支部長の佐藤孝行前衆院議員の事実上の引退表明に伴う後継問題が、自民党8区支部の関係者らを置き去りにしたまま進んでいるからだ。佐藤氏の二男(健治氏)を後継候補に挙げる同氏サイドの動きが、ほかには「独断専行」と映ることが背景にある。「グイグイ引っ張るのが持ち味」と佐藤氏擁護の声もあるが、今回はその“豪腕”が裏目に出ている。

 「(足の持病で)医者から選挙運動は無理ではないかと言われた。10日前に函館に来て、(そのことを)市長や商工会議所会頭らいろいろな人に話し、適当な方がいたら、推薦願いたいということを再三申し上げてきた。しかし、手を挙げた方はいない」

 4日、函館市内で開かれた佐藤氏の後援会有志12人が集まった会合。同氏は事前に会った有力者の具体名を挙げた上で、自身の後継選考において地元政財界との間で「手続き手順を踏んだ」ことを強くアピールした。

 ただ、佐藤氏の動向に、自民党関係者は「補欠選挙への対応について、党として正式な会合は一切行われていない」と困惑を隠さない。

 1999年の市長選では、佐藤氏が強引とも取れる形で当時道議の畠山博氏を市長選にかつぎ、党内にしこりが生じた経緯がある。その後も党としての機能を十分に果たせないままで、今回の衆院補選を巡っては「佐藤氏主導の候補選考で保守分裂に至った99年市長選の二の舞になるのでは」との懸念が関係者の間に根強い。

 党道連が打ち出した公募方式による候補選考が、果たして保守大同団結の緩衝材になるかどうかも不透明だ。佐藤氏自身も自薦、他薦による公募を口にしてはいるが、党関係者は「(二男擁立の意向を持つ)佐藤氏が前面に出ては、ほかに手を挙げにくい。このままでは保守分裂の流れは変わらない」と指摘する。

 佐藤後援者の一部にも少なからず佐藤氏主導への抵抗感が生まれている。4日の後援会有志の会合では、二男擁立の動きに対し「過去の選挙の敗戦をシビアに分析すべき。今は保守一本化にどう汗をかいていくか考えることが優先」などの慎重意見も出され、佐藤氏への二男擁立の要請というシナリオは見送られた。

 佐藤氏は96年と2000年の衆院選小選挙区で落選。ほかの保守勢力との対峙(たいじ)が敗因の一つとみられ、今回は後援会関係者の一部にも「自民党・保守勢力が大同団結しないと、道南の保守の火を消すことになってしまう」との危機感が強い。

 佐藤氏は、同じ江藤・亀井派の平沼赴夫経済産業相の7日の函館入りで「地元経済界に自身の影響力の健在ぶりを示し、保守一本化への関係修復を狙う」(関係者)が、これが吉と出るか凶と出るか、今後の道南政治地図を占う一つの試金石となりそうだ。

提供 - 函館新聞社



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