カエルの池荒らされる
update 2003/5/10 12:10
函館山のふもとにある観察用のカエルの池(函館市青柳町)が今月上旬、何者かによって荒らされていたことが、同池を見守ってきた函館山ふれあいセンターの調べで分かった。池の中に設置していた、カエルが天敵から身を守る数本の木が倒されたほか、観察用の網も壊されていた。同センターでは卵のふ化や成長度合いを見計らって再整備する方針だが「カエルが産卵した直後の心無い行動」と憤りを隠せないでいる。
同池は1991年に造成。約30平方メートルと広くはないが、10年ほど前からアズマヒキガエルが産卵に訪れるようになり、昨年にはエゾヒキガエルも卵を産み付けに来るなど、文字通りのカエルの池として知られていた。
同センターでは、函館山ボランティアガイドのうち4、5人が交代で観察を続け、カエルが池の中でカラスなどの天敵から身を隠す場所と、山と池の連絡橋を兼ねた木のスロープを2カ所に設置し、その成長を見守っていた。
池の縁にはオタマジャクシなどを観察するための小形網や瓶などを常備し、ガイドが子供たちにカエルの説明をするなど、自然を勉強をする場としても活用されてきた。
今年も4月4日にエゾアカガエルの卵塊4、5個、今月2日にアズマヒキガエルの産卵を確認したが、同3日にガイドが足を運んだところ、配置していた木が池の中になぎ倒され、木を安定させていた石も動かされていた。また、小形網が壊され、観察用の瓶は無くなっていたという。
ガイドの1人は「誰かが池に入ってメチャクチャに引っかき回した形跡がある。普段は透き通っている水も2種類の卵塊が確認できないほど濁っていたし、例年、産卵後1週間はとどまるヒキガエルもいなかった。これまでの苦労を考えると力が抜ける」と肩を落とす。
ただ、エゾアカガエルのオタマジャクシはすでにふ化しており、全滅という最悪の状態は免れている。今後はアズマヒキガエルのふ化と成長を待って、再び木を配置し、周辺も元の通りに整備するという。
同センターでは「2種類のカエルが同じ池に卵を産むという自然の生態系を観察しようと、張り切っていただけに余計にショックだった。カエルはサケと同じで生まれた所で産卵するので、今後はその成長を静かに見守ってほしい」と訴えている。
提供 - 函館新聞社
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