「海峡号」廃止で修学旅行先変更を検討へ

update 2003/5/1 12:09

 函館市内の小学校で、修学旅行の訪問地について、従来の青森から札幌などの道内に変更を希望する声が出ている。函館と青森を結ぶJRの快速列車「海峡号」の廃止などで、希望する日程が取りにくくなったことに加え、「まずは地元北海道を見せたい」との考えもあるよう。小学校の修学旅行については移動できる距離に制限があり、今後、市教委が“規制緩和”を視野に入れた検討を始める見通しだ。

 函館の小学校では、交通の利便性や充実した観光名所などに加え、1989年に青森市とツインシティーの提携を結んだ経緯もあり、長年にわたり青森、弘前方面で修学旅行を実施。JR北海道でも、予約が集中する6月中旬には、海峡号を通常の5両編成から最大12両に増やして対応してきた。

 今年度も、盛岡を訪れる亀尾小を除き、40校が1泊2日で青森方面を訪れる。

 しかし、昨年12月の特急「スーパー白鳥」の開業で状況が変化。海峡号や急行「はつかり」など、料金面から、これまで修学旅行に利用されてきた在来線が廃止され、函館―青森間をつなぐ列車は特急のみ9本(従来11本)に減少。さらに、車両増結ができなくなったことで、札幌など道内訪問を希望する学校が出てきた。

 ある学校では6月中旬を希望したが予約が取れず、今年は7月2日から実施するという。同校では「教職員を含めて80人と人数も多く、現状で予約が取りにくいのはやむを得ない」と漏らす。6月中に予約が取れた別の学校では「最終日、青森を出発する時間が早すぎて滞在時間を削らざるを得なくなった。コースを変更し、見学場所を減らして対応することにした」としている。

 こうした中、東部地区のある学校では、来年度以降、旅行先を札幌に変更することを検討している。同校の校長は「札幌であれば、目の届く範囲で自主研修ができる。北海道の中枢を見せたい」と話す。

 ただ、道内の小学校の修学旅行は、道教委が99年度まで全行程の移動距離を「500キロメートル以内」と指定。2000年度からは各市町村の教育委員会が決め、函館市の場合も現行で同様の制限を設けている。札幌方面への訪問は、この規定の枠に収まらない。

 「青森の前に道内を知るべきでは」とする別の学校では「時間がかかるため、札幌は選択肢から外していた。規制を緩和してもらえれば可能性が広がる」と話す。こうした声を受け、市教委は「今後、慎重に検討を重ねたい」としている。

提供 - 函館新聞社



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