井上市政2期目の船出

update 2003/4/30 10:20

 井上博司函館市長の2期目の航海を展望する上で欠かせないのが、議会対応の行方だ。保守系候補でありながら、井上氏が民主、公明両党の支持を受けて市長選を戦ったことは、市議会の信任、ひいては今後4年間における“オール与党”という約束手形を得たことに等しい。

 井上氏自身も、28日の就任会見で「議員34人中、考え方の違う3人(共産党)を除けばオール与党と言えるかもしれない」との認識を示した。その一方では、自らを律するかのように、次のように付け加えることも忘れない。

 「(与党体制が強固であれば)議会対応がスムーズにいく場合もあるが、与党議員であっても1期目は市政に対する厳しい指摘も多かった。互いに切磋琢磨(せっさたくま)が必要であり、安心に流されることはない」。

 議会論議の流れを左右し、市理事者が最も注視する会派再編の動きは、既に水面下で駆け引きが始まっている。5月7日に会派結成届が締め切られ、正副議長選びの会派間調整を経て、同15日の臨時会で新体制がスタートする。

 焦点となるのは、新旧13人の保守系議員(改選前の無会派3人を除く)の動向だ。全員が大同団結して一つの会派を結成すれば、改選前に最大会派だった民主・市民ネットの改選後勢力である10人を上回る。所属議員数が多い順に第1会派が議長、第2会派が副議長を出すという、これまでの慣例に照らせば、保守系の大同団結は議長のポスト取りに直結する。

 しかし、保守系議員はこれまで、ポスト争いなどに執着することが多く、離合集散を繰り返した結果、改選前には4つの会派に分裂。ここ数期は、最大会派の民主・市民ネットに議長のイスを譲っている。

 ただ、井上市長ら市理事者にとって民主系議長の存在は、むしろプラスに作用することがこれまで多かった。なぜなら、議長を出す会派は議会運営を優先するため、野党色を薄める傾向があるからという。関係者からは「せめて保守系会派が第2の勢力にまで盛り返し、井上市政を支える立場であることを思い起こしてくれれば」とのつぶやきも聞かれる。

 こうした思惑や駆け引きを経て、保守系会派が一枚岩になるのか、再び集散を繰り返すのか、この週末が一つのヤマ場となる。一部には「自民党の支持で新知事が誕生した。道と市のパイプの通りをよくするため、井上市長と行動を共にする議長は保守系から」と保守合同を模索する動きも。選挙戦を終えたばかりの議会は、主導権をめぐる攻防に次の舞台を移す。

提供 - 函館新聞社



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