古新聞の“抜き取り”横行
update 2003/3/13 10:58
「契約していない業者が古新聞を勝手に持って行ってしまう」―。集団資源回収に出されている古新聞を契約外の業者がだまって抜き取っていくという苦情が、函館市内の各町会などから市に寄せられている。集団回収は、集めた古新聞の量に合わせて報奨金が支払われる仕組みになっており、「抜き取り」があると、町会や子ども会など取りまとめ団体の収入が減ることになる。市では「リサイクルの輪を崩しかねない行為」とし、業者側との話し合いや指導を強化している。
各町会などによると、「抜き取り」は、各地域の集団回収日の契約業者が来るまでのすき間の時間を狙って行われている。道路脇に積まれた古新聞を数人でトラックに積み込むケースが主流で、店舗を構えないフリーの交換業者が多いとされる。マイクで古紙の交換を呼び掛け、「ついで」に持ち去るのはまだいい方で、集団回収の古新聞だけを狙う業者が増えているという。
市では、抜き取りが増えているとの指摘について「古新聞が、ごみの有料化で集団回収に出されるようになった。資源再生の取り組みが順調な分、抜き取りのうまみが増えたのでは」と分析する。
各団体が集団回収で集めた古新聞は、量によって市から出る報奨金の割合が変動するほか、直接、販売代金にもかかわる。市内東部のある町会では「集団回収での収益は、夏祭りで子供たちに買うお菓子の代金になる」といい、「抜き取り」行為に強い不満を漏らす。
抜き取りは、ごみに捨てられたものを処分するという名目から、犯罪とならないのが実情。「数人で抜き取りをしていた業者を注意したら、ごみを片付けて何が悪いなどとすごまれた」(市内の男性)との声もある。
市内の資源回収業者によると「中国への古紙輸出量が増え、古紙業界が潤っている印象を持たれているが、実情は厳しい」。道内では大手製紙会社2社が古紙の大半を扱っており、価格競争が少なく、買い取り価格にさほどの変化はないという。そんな中、団体と契約を結んでいる業者は「契約団体からの古紙をとられるのはかなりの痛手」と嫌悪感を示す。
抜き取りの対抗策として、東京都杉並区では条例の一部改正を予定している。資源回収日に出された「ごみ」は区が所有権を持つとの内容で、今週の議会で可決、来週にも施行される見通し。施行後は、抜き取りは窃盗罪となる可能性が出てくる。同区では「抜き取りによってリサイクルの根幹が揺るがされかねない状態となった。条例改正は必要。デメリットはないと考えている」と話す。
市町会連合会、市資源回収推進協議会では「条例化までは議論の余地が多く残されており、検討が必要」としながらも「集団資源回収に出してくれる人の善意を踏みにじる行為として倫理的に問題がある」と指摘。市も「積極的に話し合いを進め、必要な指導を行いたい」とし、「抜き取りを見かけたら、車のナンバーを知らせてほしい」と呼び掛けている。連絡先はリサイクル推進課TEL51・0796。
提供 - 函館新聞社
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