木材破砕処理業者誕生へ
update 2003/10/8 10:54
建築廃材などの木材破砕処理を行える廃棄物の中間処理業者が函館から消えて1年余り―。市内では新たに認可を受けようと準備を進めていた数社が、来年の操業開始を目指して動きを活発化させている。業者の中には、既に、市の都市計画審議会を通り、道に申請が進んでいるところもあり、早ければ来年2月にも、木材破砕処理のできる中間処理業者が市内に誕生する。一方で市の廃棄物行政に対する住民の不安も尽きず、問題の深さや対応の難しさも浮き彫りとなっている。
市内唯一の木材破砕業者として多くの建築廃材を受け入れていた「三和廃棄物処理産業」が、違法な埋め立てをしていたことが発覚して昨年、産業廃棄物処理業の認可を取り消された。函館市近郊では七飯町、上磯町、大野町などに破砕処理業務の申請が相次ぐなど、ビジネスチャンスととらえた動きが出ていた。
市内のA社は、住民説明会などを経て、今年8月末に本申請をした。同社は、滝の沢町98に木くず破砕をメーンとした処理施設建設を計画している。同社によれば、敷地面積は2万3000平方メートル、保管ヤードや事業所は合わせて1万3000平方メートル。破砕と選別の2つの事業を柱にすえる。道の許可待ちとなっており、許可が出次第、11月初旬にも着工をする計画。
また、市内で建築工事などを行うB社は、7日に市民会館で住民説明会を実施。函館市東山町134の2の、8500平方メートルの敷地に632平方メートルの破砕施設を備える計画を説明した。説明では、集じん設備を持ち、散水も行うので、ちりなどの周辺への影響は少なく、軽微であるとしたほか、「騒音問題もシミュレーション上は問題ない」などと述べた。
地域住民の“三和アレルギー”を払しょくしようと、A社では「情報公開に努め、求められた資料はすべて住民に提出し、理解をもらった」と説明する。B社でも「独自に基準を厳しく設け、事業計画を立てた。反対があれば、しっかり対応して納得してもらう」と住民本位の姿勢をみせる。
これに対し、東山地域住民で作る「東山地域環境対策委員会」では、「問題が出てくるのは許可を受けたあと」と指摘。「三和問題が解決しない中で次のステップを踏もうとする行政に問題を感じる」と不信感を隠さない。
実際、手続きを進める業者の中には「市の廃棄物処理施設設置等指導要綱により、住民説明会を開かなくてはならないが、住民の同意を必要としてはいない」とするところもあり、住民の不安は尽きないのが実情だ。
市は立ち入り検査の基準を厳格に設けるなど、不正防止の対策を進め、随所で「過去の過ちを繰り返さないためにも、厳選な立ち入り検査をしていく」と、信用回復に努めている。しかし、認可に当たっては住民からの根強い反発も予想され、難しい対応を迫られるのは必至だ。(後藤泰良)
提供 - 函館新聞社
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