135年前の開陽丸の戦い伝える墨絵公開 江差で戊辰戦争の幕府軍の慰霊祭

update 2003/10/5 11:20

 【江差】135年前の戊辰戦争での幕府軍戦死者を慰める「第12回戊辰役東軍殉難者慰霊祭」が4日、江差町の曹洞宗正覚院で戦死者の子孫らを招いてしめやかに営まれた。会場では、幕府軍を率いた榎本武揚と親交が厚かった江差奉行並の小杉雅之進が箱館戦争を記録した墨絵も初めて公開され、参列者らが見入っていた。

 慰霊祭には長岡藩家老で、東北や北陸の諸藩が連合して新政府軍に対抗した奥羽越列藩同盟の総督だった河井継之助の子孫で、米国在住の根岸千代子さんら幕府軍ゆかりの人たちが出席。江差追分会の青坂満上席師匠が江差追分を奉納。幕府側戦死者を追悼した。

 公開された墨絵は、江差沖で沈没した軍艦「開陽丸」など幕府艦隊が江戸湾を脱出、本道上陸から松前や江差を砲撃する開陽丸の姿、五稜郭での戦闘の様子を鳥観図風に描いたもの。

 新政府軍の艦隊が幕府軍が占領した江差に艦砲射撃を加える様子を伝えた墨絵は、倉庫群が並ぶ町並や、撃ち込まれた砲弾が激しくさく裂する様子を詳細に伝えている。

 開陽丸友の会会長の石橋藤雄さんは「開陽丸の姿を詳細に伝える重要な史料」と話していた。

 雅之進が敗戦後に獄中で記した「麦叢録」や榎本直筆の書簡も展示された。史料は雅之進の子孫で横浜在住の伸一さんらが、寄贈先で榎本とゆかりの深い東京農大から借り受けた。

 伸一さんは「幕府側の戦死者は『賊軍』の汚名を着せられ供養されることはなかった。薩摩・長州藩中心の歴史観だけでなく、両軍の隔たりを無くした慰霊祭を実現したい」と話していた。

提供 - 函館新聞社



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