脱サラでこだわりの卵

update 2003/10/4 11:04

 卵アレルギーの長男、長女に卵を食べさせたい―。わが子を思い、今年3月に勤め先を辞めて養鶏業を始めた函館市神山3の奥岬(おくざき)覚さん(26)が生産、販売する卵が、毎日完売するほどの人気となっている。飼料に南茅部産のコンブや無農薬野菜を使うなど、徹底的に品質にこだわっており、「食べると元気が出る」と評判。6日からは、ふるさと小包として、ゆうパックで全国に販売されることも決まり、奥岬さんは「うちの卵を食べて健康になってほしい」と張り切っている。

 奥岬さんは南茅部町出身。20歳から函館に移り住み、養鶏業に転職するまでの約6年間、建設業に従事した。その間に、妻の幸子さん(28)と結婚、長女菜々ちゃん(4)と長男亮太ちゃん(3)をもうけた。

 悩みの種になっていたのは、2人の子供の卵アレルギー。食べると全身に湿しんが出て、かゆがった。孫を思ってか「仕事を辞めたら養鶏業をやりたい」と話していた幸子さんの父、阿部幸四郎さんが昨年11月に他界。夫婦で相談して、「遺志を継ごう」と決めた。

 卵アレルギーでも食べられるように、飼料の配合やニワトリにストレスを与えない飼い方などを独学で研究した。飼料には南茅部町白口浜コンブを使用。塩を多量に含まないように特別に作ってもらった。無農薬野菜も、畑を持つ親類に頼み、鶏糞と交換で分けてもらっている。

 飼い方も、ニワトリにストレスがたまらない方法を模索。小屋と屋外を自由に行き来できるようにしたほか、病気やけがをしたニワトリ用の「病室」も設けた。

 自分の生産した卵を初めて子供に食べさせるときは不安もあったが、無事、湿しんが出なかった。「本当に感動したよ」。自分の作る卵に自信が持てたという。

 現在、約1000平方メートルの敷地に800羽ほどのボリスブラウン種を育てている。「ニワトリを、卵を作る機械のように扱いたくはない。1羽1羽が、家族だよ。それに、愛情を注いで大切に育てた分、おいしい、栄養のある卵を産んでくれるさ」と、奥岬さん。

 市内ならどこでも、1パックから配達している。「うちの卵じゃなきゃだめだっていう人が多いから。利益は減るけど、ここまで買いに来れない高齢者にも食べてもらいたいし」

 10個入りで、SからMサイズの「小玉」が300円、Lから2Lの「大玉」が400円。奥岬さんが経営する神山3の「玉吉」で販売している。ゆうパックは40個入りで、小玉2600円、大玉3000円。地元の神山郵便局(米本利行局長)が取り扱う。

 問い合わせは、奥岬さんTEL090・6213・6630。(後藤泰良)

提供 - 函館新聞社



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