「日章旗」60年ぶり遺族へ返還
update 2003/10/3 10:04
太平洋戦争で亡くなった叔父、駒野滋さん(江差町出身)の遺品の「日章旗」が2日、小林正夫さん(70)=江差町豊川町129=のもとに、佐賀県のNPO(民間非営利団体)法人「戦没者を慰霊し平和を守る会」(事務局・同県北茂安町)の塩川正隆副理事長から届けられた。小林さんは「60年近くもたって遺品が戻ってくるなんて夢にも思わなかった」と感激していた。
同会は昨年2月、沖縄戦での戦没者の遺品を収集・保管している沖縄のNPO法人「琉米歴史研究会」から「返還に協力してほしい」と、遺品約1000点を譲り受けた。厚生労働省などを通じて遺族捜しを進める中、駒野さんら戦没者4人が道内出身と判明。
7月ごろ、厚生労働省の依頼を受けた道庁から、小林さん方に駒野さんに関する電話が入った。その後、送られてきた日章旗の写真を見て、「駒野滋」さんのほか祖父、父母ら親類、知人の氏名を見つけ、確信したという。
この日は、塩川副理事長が午後1時過ぎ、同庁舎で小林さんと妻ユミさん(66)に手渡した。日章旗には氏名とともに「元氣一杯」「大政翼賛」「忠誠報國」(原文のまま)など、出征を激励する文言が並ぶ。血痕とみられる変色部分もあり、肌身離さず持っていたことがうかがえる。
小林さんによると、駒野さんは、26歳前後の1945年5月27日に沖縄で戦死。出征は小林さんが11歳ごろで、「出征の前の晩、親類が集まって酒を飲んでいたのが最後の思い出。こういう形で遺品が戻ってくるとは」と感慨深げに話していた。
道内の3遺族に遺品を返還するために来道した塩川さんは「誰かがやらなければいけないこと。そうでないと若くして亡くなった方々がかわいそう過ぎる」と話していた。(吉良 敦)
提供 - 函館新聞社
ご注意:
●掲載している各種情報は、著作権者の権利を侵さないよう配慮の上掲載されるか、又は、各情報提供元の承諾の元に掲載されています。情報の閲覧及び利用については「免責事項」をよくお読み頂いた上で、承諾の上行って下さい。
●掲載中の情報の中には現在有効ではない情報が含まれる場合があります。内容についてはよくご確認下さい。