ブルーリッジ入港に賛否両論

update 2003/10/2 13:13

 「函館の軍港化に反対」―。米海軍第7艦隊の旗艦「ブルーリッジ」が函館港に入港した1日朝、港町ふ頭では入港に反対する市民団体などが、“巨艦”に向かってシュプレヒコールを繰り返した。一方、珍しい軍艦を一目見ようと駆け付けた親子連れなど見物人の姿も。物々しい厳戒態勢の中、6年ぶりの寄港は賛否に揺れる市民感情の両面をのぞかせた。

 港町ふ頭では午前9時から、「非核・平和函館市民条例を実現する会」や全労連・函労会議などが共同で抗議集会を開催。約150人が集まり、「ブルーリッジ入港反対」「STOP THE WAR」などと書かれたプラカードや横断幕を掲げ、姿を現した旗艦にこぶしを上げた。

 函労会議の佐藤達雄議長は「戦争への危険性が増すなか、艦船での親善は絶対にお断り。軍艦の入港に慣れることが軍港化につながる」と厳しい表情。元北大水産学部長の佐藤修さん(78)は「イラク戦争に直接かかわった船。戦争の一環に組み込まれてしまう」と危機感をあらわにした。

 テロ対策で鉄製フェンスが張り巡らされ、見学者は接岸の模様を確認できず、函館市榎本町の団体職員、才門みほこさん(55)は「わたしたちはテロではない。フェンスを設けるなんて、市民の声を遮断している」と不満の声を上げた。艦から約200メートル地点に指定された集会場所は、なし崩しに80メートル地点まで近づき、英語で「帰れ」を連呼、函館西署の警告が繰り返された。

 一方、入港する旗艦に歓迎ムードで応える市民も。同市桔梗町の自営業、樫田明夫さん(63)は「珍しい船が入港する際には見に来ている。いまさら反対というのも…。特に問題はないと思う」と言葉少なに、カメラのレンズを艦に向けた。

 家族で見物に来た上磯町追分の無職男性(65)は「何かあった時には、米国に頼らざるを得ないのだから、入港は仕方がない。入港料も取れるし、いいのでは」と抗議活動を横目に苦言。函館日米協会の中野晋事務局長(38)は「来年はペリー来航150周年で歴史的な経緯もあり、時々来てもらえるのは大歓迎。親善を含めて経済効果などメリットもある。軍港化になることはあり得ない」と期待を込め、懸念を払しょくした。

提供 - 函館新聞社



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