厚沢部の2診療所閉鎖から3カ月、医師探し難航

update 2003/9/29 10:26

 【厚沢部】医師廃業に伴う厚沢部町立の鶉・館の2診療所の閉鎖から3カ月―。後任の医師探しは地域医療を志す医師の不足で難航、再開のメドは立っていない。医師の確保に奔走する同町の姿は、へき地医療の維持に苦悩している各地の自治体の姿を象徴している。

 鶉・館両診療所が閉鎖したのは6月30日。両診療所を経営していた、滝口啓三医師が高齢と健康上の理由で廃業。後任の医師を確保できずに、閉鎖を余儀なくされた。

 8月末現在、鶉地区の人口は938人、館地区は1396人。最寄りの町国保病院まで、鶉から約7キロ、館から約10キロある。高齢者が多く、自力通院できない独居老人も増加傾向にある地域だ。

 同町は診療所閉鎖後の7月から週2回、両地域から町国保病院への通院を可能にするため、無料のワゴン車を運行。自力通院できない患者を送迎しているが、通院者が増える冬季は「バスの運行も検討しなければならない」(澤田孝一同町長)状況という。長期閉鎖は、患者が函館市内などの医療機関を利用することで、町の国民健康保険会計の悪化を加速させる懸念もある。

 地域住民からは「病状に応じた通院ができず不便」「夜間の急患などは国保病院や道立江差病院へ行かなければならず不安だ」など、診療所の再開を求める声が根強い。

 同町は札幌医大出身の国保病院長を介して、同医大第1内科の医局に後任医師の紹介を要請したが「現段階では非常に難しい」との回答だった。

 道を通じて、道地域医療振興財団に医師の紹介を要請。診療所の建物や医療機器を無償貸与、月25万円の補助金で経営を支援するなど条件を整えるなど、医師の確保に奔走しているが、再開のメドは立っていない。

 医師の名義貸し問題に始まり、不透明な大学病院の医局に国や道のメスが入る一方、医局に代わり自治体が求める、地域医療の担い手を供給する制度が整わなければ、へき地医療体制は崩壊しかねない。過疎に悩む自治体の苦悩は深まる一方だ。

 同町も昨年度まで、国保病院への医師派遣の謝礼として札幌医大の2医局に謝礼金を支出していた。澤田町長は、資金提供を通じた医局との関係について「必要悪という表現が適切かどうか分からないが、医局との良好な関係が国保病院の運営には不可欠だった」と話す。

 一方で「町単独での医師募集は今後も困難が予想される。管内には九州まで医師探しに駆け回り失敗した町もある。医局という医師確保のチャンネルが無くなるのは厳しい」と険しい語った。

提供 - 函館新聞社



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