真価問われる新品種米「渡育240」
update 2003/9/4 10:56
道立道南農業試験場が13年ぶりに開発したコメの新品種「渡育(といく)240」は、今年から一部農家で作付けが始まった。「低温に強く、味も良い」(同農試)のが特性。今年は6月下旬以降、低温が続くなど、10年ぶりの大冷害が懸念されており、1年目から真価が問われる状況になった。同農試は「品種間格差が出るのは間違いないが、収量にどれだけの差が出るか」と気をもんでいる。
渡育240は、同農試が1990年に開発した「ほのか224」以来の品種で、今年1月、道の奨励品種に認定。10年前に交配し、9年がかりで誕生した。独自のコメブランドとして「道南の売れるコメ」に育てたい、というのが道南の農業関係者の願いだ。
渡島管内の作付けの約8割を占める「きらら397」(上川農試開発)と同2割の「ほしのゆめ」(同)は、晩生(おくて)種と早生(わせ)種の間に出穂期を迎える中生種で、渡育は晩生種。中生種より5日ほど遅く穂が出るため、低温や日照不足の影響を受ける時期が異なる。
今年は6月下旬から低温と日照不足が続き、農水省函館統計・情報センターによる8月15日現在の作柄概況では「著しい不良」が見込まれている。しかし、天候は8月下旬からやや回復の兆しを見せており、道南農試は「ほ場の穂から判断すると、きららより実入りは良いはず」(作物科)と期待する。大野町稲作振興会(約240戸加盟)の畠中登会長(58)は「きららよりは実が入っている感じだが、こればかりは収穫してみないと分からない」と表情はさえない。
同農試によると、今年は大野、七飯、知内3町の27戸が19・6ヘクタールを作付けし、収穫目標は95トン。同農試は「目標達成は難しいと思うが、1穂当たりどれだけ多く取れるかが問題。実が熟す時期なので水分を絶やさないでほしい」としている。(吉良 敦)
提供 - 函館新聞社
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