南茅部町で国内最大級の「馬蹄形盛土」確認
update 2003/9/3 12:06
【南茅部】南茅部町教育委員会が発掘を進めている同町内の垣ノ島A遺跡で、縄文時代後期初頭としては国内最大級とみられる「馬蹄形盛土」に囲まれた集落が確認された。盛土で囲まれた内部の平坦な部分に、盛土形成と同時期の集落跡があることも極めて珍しく、関東周辺で見られる盛土遺構の形成過程を探る上でも、貴重な資料として今後、研究者らの注目を集めそうだ。
同町教委埋蔵文化財調査室(阿部千春室長)によると、見つかった馬蹄形盛土の大きさは、長軸方向で約120メートル、盛土の幅は最大約15メートルで、短軸方向で約100メートル。盛土頂部と底部の高低差は現段階では、1・5―2メートルと推測される。馬蹄形の開口部は北西を向いている。
約20カ所の盛土上部を調査した結果、縄文後期初頭の土器片や石器、魚の骨などが多数出土。道具類などの廃棄場所とも考えられるが、火をたいた跡があることなどから、「単なる捨て場所ではなく、神に送る儀式が行われた可能性が高い」(同室)という。
縄文後期初頭の南茅部町の気候は、寒冷化が進んでいたとみられ、土地を捨てて移動することを考慮したためか、住居はそれ以前と比べて小さくなっている。盛土に囲まれた集落跡でも同様の傾向は見られるが、大規模な盛土を形成していることから、大集落が長期間存在した可能性もうかがえ、盛土下層部の年代調査と正確な全容解明が待たれる。
また、盛土周辺の土地は未開発で、同室は「今後の調査で墓の跡などの発見も予想され、周辺環境を含めた縄文時代後期初頭の大集落の生活形態を知る貴重な手掛かりになる」と期待する。
8月下旬に同町を視察した高橋はるみ知事も、「遺跡の全容を知りたい」と語るなど、協力姿勢を示唆しており、今月5、6両日、札幌で開かれる「北海道・北東北知事サミット」でも話題に盛り込むとみられる。(後藤泰良)
提供 - 函館新聞社
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