上ノ国で「うるし文化」講演会

update 2003/9/1 11:56

 【上ノ国】上ノ国町総合福祉センター「ジョイじょぐら」で開かれた移動展「北海道のうるし文化」(北海道開拓記念館主催)の理解を深める講演会が30日、同センターで開かれた。同町教委の松崎水穂主任学芸員が、同町の国指定史跡・勝山館周辺で出土した漆器の特徴や調査の展望を語り、訪れた市民や考古学ファンらが熱心に耳を傾けた。

 勝山館は15世紀後半から16世紀にかけて築かれた山城。周辺では椀(わん)や盆などの漆器が数多く出土した。勝山館南側の「夷王山墳墓群」でも、墓坑内から副葬品の漆器類が出土している。

 出土物をスライドで紹介した松崎氏は、同墳墓群の漆器について「全体が朱漆で塗ったものが格段に多い」と指摘。文献などから「本州では全体が赤い漆器は有力者が使った。外側が黒く、内側が赤い漆器は日常生活用で、勝山館や現在の市街地でも出土している。墓に入れた副葬品は尊敬の表れ。本州と同じ価値観が見える」と述べた。

 また、「想像の域を出ないが、桧山では私たちも正月は赤いお膳でごちそうを食べた。こうした習慣は当時の文化が根底に流れているかもしれない」と、古代と現代を結ぶ、漆文化のロマンを語った。

 同館の水島未記道学芸員は、植物学的な視野から見た漆文化について講演。本州に伝わる漆生産技術や漆の化学的性質、道内での栽培の歴史などを紹介した。

 移動展の第2弾は、5―10日、南茅部町大船の大船遺跡速報展示室で開かれる。(松浦 純)

提供 - 函館新聞社



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