潮風

update 2003/8/16 13:18

 お盆とはいえ、普段通り働いている人も多いのでは。「お金もないし、連休もないけど、夏休み気分は味わいたい」。そんな人のために、道南からなら“理論上”は日帰りでも楽しめるリゾート地「奥尻島」の格安プランを紹介する。夏の離島で日ごろのストレスを吹き飛ばそう!

 奥尻島へは、フェリーと飛行機があるが、断然フェリーの方が安い。瀬棚発と江差発があるが、日帰りでも時間が取れるのは、江差発。江差を午前7時に出発して奥尻島に同9時10分に着く便に乗ろう。これに乗り遅れると、午後1時まで便はなく、日帰りはできなくなる。帰りは、午後3時45分奥尻発江差行きの便を利用する。料金は片道で1等が3770円、2等が2100円。基本的に予約は必要ない。

 島内観光でこの時期お勧めなのは、7、8月限定の定期観光バス。主な観光ポイントを短時間でコンパクトに回ってくれる。レンタカーも自由が利くので魅力的な選択肢の1つだが、10年前の震災を機に、島を囲むように備えられた防潮堤に阻まれて、車窓から海が見える時間が少ないのがマイナスポイント。観光バスなら、高さがあるので思う存分、海を見ることができる。

 今回は、レンタカーを使う場合でも参考になると思われるので、観光バスを利用しての島内めぐりを紹介する。所要時間は約2時間半。料金は大人3000円、子供1700円。いずれも、津波館入館料を含む。

 出発は、到着して間もなくの午前9時半。奥尻港を出る。初めに行くのは、宮津弁天宮。高さ30メートルの岬に建つ大漁祈願のお宮をバックに記念撮影を。

 そして、道南五大霊場の1つ「賽(さい)の河原」へ。海難犠牲者などの魂を慰霊する場所とされ、思いを込めて積み上げられた石塔が、異次元を思わせる。

 次に、奥尻島のシンボル「なべつる岩」へ。鍋のつるの形をしていることからこの名がついた。奇岩を見ながら、潮風を感じれば、旅行気分も高まる。ライトアップされた夜もきれいだが、日帰りなのでぐっとがまん。

 続いて、「うにまるパーク」へ。ウニをモチーフにした「うにまるモニュメント」を見ていると、なんとなく、ほのぼのとした気分になれるはず。

 そして、行程最後の見どころ、徳洋記念緑地公園へ。一番の目玉は「奥尻島津波館」。1993年7月12日、島だけで約200人の命を奪った「北海道南西沖地震」の記憶と教訓を、写真や当時の小学生の心打つ作文などで紹介している。奥尻で発掘された遺物も展示している。

 記念館すぐ横の「時空翔」も見どころの一つ。北海道南西沖地震の5年後に建立された慰霊碑で、ちょっとした丘の上にある。晴れた日に、ここから見る海の美しさは格別。

 順調に行けば、正午ごろに奥尻港に着く。出航までの3時間は、土産ものを探したり、「ウニ」「アワビ」などの海の幸を昼食に選び、リゾートを満喫しよう。

 ただし―。島に着いてから天候が崩れ、船も飛行機も出ないとなると、本当に島に閉じ込められてしまう。何日後に島から出られるかは、誰にも分からないことを肝に銘じておこう。グッドラック!(後藤泰良)


 各種連絡、問い合わせ先は次の通り。

 ●エアー北海道・函館空港TEL26・3521 ●東日本海フェリー江差支店рO1395・2・1066 ●奥尻町観光交通課TEL01397・2・2351 ●奥尻島観光案内所TEL01397・2・3096

 1、奥尻島のシンボル「なべつる岩」 2、震災を今に伝える「奥尻島津波館」 3、どことなくユーモラスな「うにまるモニュメント」

提供 - 函館新聞社



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