函館税関、通貨や証券返還
update 2003/8/15 12:02
函館税関は、終戦当時に海外からの引き揚げ者が、税関や海運局、海外領事館などに預けた通貨や証券の返還を進めている。今年7月1日現在で、人数にして3割強しか返還されておらず、「心当たりのある人はまず照会を」と呼び掛けている。
同税関で保管しているのは、旧樺太からの引き揚げ者が預けた、ロシア・中国の通貨や国債などの証券類、邦人銀行の預金通帳など。GHQが当時、インフレ防止に持ち込みを制限したため、預託された。
1953年から返還を始めたが、引き取り手がないまま残っており、返還率は人数ベースで32・5%(9218人)、保管件数で17・8%(1万8408件)。戦後58年を経ているため、預けた本人の記憶が薄れ、安否も定かではなく、近年では照会件数も減少。年間100―150人程度にとどまっているという。
返還は、当時の預かり証がなくても、引き揚げ船の船名や入港時期が分かれば可能。本人以外でも親族であることを証明できれば返還する。同税関は「これらに、現在金銭的な価値が高くはないだろうが、思い出が詰まっているはず。他の税関で保管しているものも調べることができるので、まず一報を」と話している。
提供 - 函館新聞社
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