洋上風力発電「有望」 松前沖、道内初の法定協議会設置
update 2023/11/14 18:28
【松前】国が進める洋上風力発電の有望区域に指定されている松前町沖での事業化に向け、再エネ海域利用法に基づく法定協議会の初会合が13日、町ふれあい交流センターで開かれた。「促進区域」の指定を得るために必要な組織で、道内5カ所の有望区域で設置は初めて。国の関係省庁や道、町、漁業関係者、学識経験者などで構成。地域の基幹産業である漁業との共存共栄や振興策を念頭に事業実施に向けた課題を整理する。
松前沖の想定エリアは日本海側の折戸浜沖〜原口沖の南北約25キロの範囲。海底に固定する着床式の風車で最大数は25基(10メガワット機)。15メガワット機の場合、総出力は315メガワット、海面からの高さは250メートル前後、横幅は230メートル前後と見込んでいる。
初会合冒頭、土屋俊亮道副知事は「全国で唯一ブラックアウト(胆振東部地震時における大規模停電)を経験した北海道で、洋上風力発電は電力需給の柔軟性の確保につながる。実現には地元の理解や地域の基幹産業振興につながることが大切だ」と述べた。座長に足利大学名誉教授の牛山泉氏、副座長に北海道科学大学の白石悟氏を互選。国の関係者が洋上風力発電の意義や再エネ海域利用法の概要などを説明し、地元関係者の意見を求めた。
地元意見として、若佐智弘副町長は「漁業との共生や地域との共存を願い、促進区域に指定に向けた取り組みは将来の松前に有意義と確信している」と期待。一方で漁業への影響を危ぐする声があるとして長期にわたる海洋生物への影響調査の実施、地場水産物の流通拡大に向けた支援などを要望。松前港などをメンテナンスのために往来するCTV船の運航拠点とすること、工事関係者の地元宿泊、消費促進などにも触れて「町内に最大限の経済的恩恵があるよう配慮していただきたい」と求めた。
また吉田直樹代表理事組合長と竹幸一副組合長が出席した松前さくら漁協はヤリイカ漁、コンブ養殖が盛んな漁場だとし、風切り音や震動の影響調査、漁船の安全航路の確保に配慮を求めた。
次回は未定だが複数回の会合を重ねて、協議会としての意見をとりまとめる。漁業への影響調査は協議会に下部組織を設置して、地元関係者を交えて検討を進める考え。経産省の石井孝裕風力政策室長は「地域振興、漁業振興への期待もいただいた。地域の人たちと洋上風力を通じてどう地域を発展させていくか考えていきたい」と述べた。
国が指定する洋上風力発電の促進区域は全国10カ所で、4カ所では事業者を選定済み。有望区域は桧山沖、松前町沖など道内5カ所を含む計9カ所、準備区域は道内外計8カ所がある。
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