北大生がホタテのミミなどの健康機能研究

update 2014/11/24 10:35


 北大水産学部の4年生3人が、普段捨てられているホタテの外套膜(通称ミミ)と海藻「ダルス」が持つ健康機能について研究を進めている。ミミには脂質の吸収を促進する働きがあり、ダルスのボイル塩蔵の加工品にも生と同様の健康面での効果があることが研究で分かった。未利用資源を貴重な水産資源として有効活用、地域産業の活性化につなげたい考えだ。

 北大大学院水産科学研究院の岸村栄毅准教授の研究室に所属する勝倉哲さん(22)、熊谷侑貴さん(22)、吉野真緒さん(23)が卒業研究として取り組む。

 ミミの研究では、タンパク質を酵素分解したペプチドを採用。ラットによる動物試験で脂質と一緒に食べさせたところ、脂質の吸収を助ける効果が見られた。生活習慣病を防ぐため、脂質吸収を抑える特定保健用食品が注目を集める中、勝倉さんは「逆に脂質を吸収しないといけない人もおり、アスリートやエネルギー不足な高齢者向けの食品の開発につながる」と期待。「外套膜に付加価値を付け、噴火湾の養殖ホタテ振興に役立てられれば」と話す。

 ダルスは以前から、血圧上昇に関与するACE(アンジオテンシンΙ変換酵素)の活性を阻害する作用があるほか、血糖値の上昇を防ぐことや抗酸化作用があることが研究で分かっており、今回は保存性を高めるためのボイル塩蔵品にした際に同じ作用があるかを調べた。塩蔵品は今年から、一部で試験販売されている。吉野さんによると、ACEの活性を抑える働きと抗酸化作用があることを試験管内での反応によって確認したという。

 ダルスはカナダや北欧では食習慣があり、サプリメントにも利用。しかし、日本ではあまり知られておらず、コンブの養殖ロープに繁茂しコンブに日が当たらないため除去される。熊谷さんは「ダルスはシャキシャキした食感でおいしく食べられる。これに健康機能がプラスされれば、函館の食産業の活性化に貢献できる」としている。

提供 - 函館新聞社

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