泳ぐシカ 世界配信へ

update 2014/11/4 10:06


 【上ノ国】今夏、町内の日本海を泳いだエゾシカの動画資料が、専門機関を通じて世界配信される見通しになった。町民と役場職員が機転を利かせて撮影した“驚きの映像”が、世界各国のお茶の間に上ノ国の存在を印象づけそうだ。

 伝説のシカが目撃されたのは8月29日夕。町内安在と木ノ子地区を結ぶ海岸沖合の1頭を農家の刀祢敏江さんが見つけて、偶然その場に居合わせた町職員の竹内宏さんが役場に連絡し、同僚の谷口博文さんと太田垣博之さんも駆け付けて“取材”が始まった。

 谷口さんは動画で記録したいと、現場の住民に協力を求めてビデオ機材を手配。広報担当の太田垣さんもすぐさま車両で現場に入り、カメラを向けたという。

 海を泳ぐシカは、奥尻島から本道に渡ったという言い伝えや地元漁師らの目撃情報はあったものの、写真や動画で記録されたことはなかった。

 町所有の記録資料は本紙や大手通信社、テレビの全国ニュースで大々的に取り上げられ、町広報誌と公式ホームページでも一連の“騒動”を紹介。10月下旬には、視聴者らの投稿動画で制作するNHKの人気番組(全国放送)にも登場するなど、注目度は高まるばかり。関係者から世界配信への打診を受けて町は全面協力を決めた。太田垣さんは「あの泳ぐシカが全国区になっただけでも驚きなのに、まさか今度は世界レベルで話題になるとは」と驚きを隠せない。

 工藤昇町長は「ほのぼのとした明るい話題で、全世界に上ノ国のことを知ってもらえることは喜ばしい」としている。

提供 - 函館新聞社

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