人工透析の未然防止 国保加入者の医療データ分析開始

update 2014/9/17 10:20


 函館市は、国民健康保険加入者のレセプト(診療報酬明細書)や健康診断結果のデータを活用した保健事業計画(データヘルス計画)の策定に取り組んでいる。主に市内の糖尿病患者の動向を分析し、高額な医療費がかかる人工透析を未然に防止することが狙い。市市民部は「国保加入者の健康課題を把握し、生活の質の向上につなげたい」としている。

 同部によると、今年4月1日現在の国保加入者は7万3238人で、人口の約27%を占める。加入者1人当たりの医療費は2008年度の34万1236円に対し、昨年度は38万1648円と年々上昇。中でも、年間500〜600万円の医療費がかかるとされる人工透析患者は昨年度181人(前年度比3人増)と増加傾向にある。

 これを踏まえ、市は直近8カ月分のレセプトデータと昨年度の健診結果データを専門業者に委託して分析を開始、医療費を詳細に分析することで健康維持に向けた課題を把握する。糖尿病患者の集計も進めることで人工透析に至る前の加入者をピックアップし、適切な指導につなげる方針。

 分析結果をもとに、将来的に医療費節減効果が見込まれる事業の実施計画を年度内にまとめ、事業ごとの具体的な節減効果額や、糖尿病患者の重症度による階層化などに取り組む。

 広島県呉市では2010年度から糖尿病性腎症の重点化予防を進めており、レセプトデータを分析することで人工透析予備軍の対象者を絞り込み、専門の保健師が面談や電話相談を行うことで半年間、食事や毎日の運動などを指導している。市は同市の取り組みを参考にしながら、計画構築を進めたい考え。

 9日の市議会一般質問で市戸ゆたか氏(共産党)が取り組みについてただし、堀田三千代市民部長は「データ解析で市の課題が明確となり、効果的な保健事業の展開が可能になる。年々増加する医療費の適正化につながる」と述べた。

提供 - 函館新聞社

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