大沼あんぱん“復活”

update 2014/7/26 10:08


 【七飯】昭和の終わりごろまで大沼で売られ、地元住民はもちろん、観光客にも愛された「大沼あんぱん」が、JR大沼公園駅の中のショップ「小昼庵(こびりあん)」の目玉商品のひとつとして二十数年ぶりに復活した。パンを作る本町のパン屋「こなひき小屋」の木村幹雄さん(60)は「懐かしさを感じてもらえる味にしたが、当時の味をただ再現したわけではない」とし、新しい味が地域に定着することを願っている。

 大沼あんぱんは、昭和20年代から昭和の終わりごろまで約40年間、大沼の和根崎商店が製造、販売していた人気商品。大沼で知らない人はいないほどで、地元住民は「観光客も和根崎のあんぱんと大沼の牛乳をセットで食べるのが定番だった」と話す。ただ、20年ほど前に店を閉めたことから、あんぱんを食べることはできなくなっていた。

 販売場所の小昼庵は、今年4月に駅の中にオープンした、七飯の産品を紹介するローカルセレクトショップ。場所柄、観光客の利用が大半で、地元の人に来てもらうための目玉商品を探していた。木村さんに相談したところ、木村さん側でも以前から大沼であんぱんを売るこという構想があったため、復活に向けて計画が進んでいった。

 出来上がったあんぱんは木村さんのオリジナルで、元祖に敬意を払い、「こなひき小屋の大沼あんぱん」とした。「小麦など素材は道産。素朴で懐かしい味に仕上がった。あんのしょっぱさも特徴」と手応えを語る。6月の販売開始以来、評判は上々という。

 観光客や地元住民が気軽に立ち寄り、くつろぐことができるスペースを目指す小昼庵。スタッフの飯田聖子さん(44)は、大沼あんぱんの歴史と店のコンセプトがぴったり合致すると考えている。「商品を売るだけではなく、観光客と地元の人が出会い、交流する場所にしたい。あんぱんの復活が地域活性化につながればうれしい」と話す。

 3個入りで270円。入荷は毎週月、木、土曜の午前11時半ごろ。

提供 - 函館新聞社

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