函館空襲から69年 椴法華住民の証言 冊子に

update 2014/7/14 10:12


 函館空襲を記録する会代表の浅利政俊さん(83)=七飯町在住=が、函館市椴法華地区(旧椴法華村)で空襲被害を受けた当時の村民の証言を冊子にまとめた。同地区の住民の体験を記録した資料は珍しく、子どもたちの平和教育に利用したい考えだ。

 同会は40年近くかけて道南各地を訪れ、空襲体験者に被害状況について聞き取り調査を行ってきた。10年ほど前、浅利さんは村民だったという見知らぬ女性から「なぜ椴法華地区の空襲記録が少ないのか」と電話で問われた。今年5月に「ずっと気掛かりだった」という同地区の調査を本格的に始め、浅利さんらが体験者8人から証言を得た。

 冊子には道南の小・中学校、高校で唯一空襲で校舎を焼失した椴法華国民学校(現椴法華小)に通っていた児童のほか、村民の被害状況や戦争の悲惨さを訴える声が記されている。

 小6だった男性は、米軍機による爆弾や焼夷弾の攻撃を受け、海上でも米軍潜水艦が日本の輸送船を攻撃し沈没させたことを目撃。また、現在95歳の女性は、機銃掃射で妹と妹の娘が撃たれた生々しい体験を証言している。

 浅利さんは「椴法華地区での村民の声をまとめたものはこれまでなかった。冊子は市内の小・中学生に向けた平和教育の一つとして後世に残していきたい。戦争が『起きてほしくない』と考えるきっかけになってくれれば。まだまだ証言が足りないので、20人を目標に活動を続けていきたい」と話す。

 北海道空襲に詳しい山本竜也さん(函館地方気象台職員)がまとめた犠牲者名簿によると、椴法華では5人が犠牲となっている。

提供 - 函館新聞社

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