函館史 華やかに 五稜郭跡で野外劇開幕

update 2014/7/12 10:22


 第27回市民創作函館野外劇(NPO法人市民創作「函館野外劇」の会主催)が11日、国の特別史跡・五稜郭跡内の特設ステージで開幕した。内堀から郭内に舞台を移した新たな函館の歴史絵巻がスタートし、初日は600人超の観客を、約400人の出演者らが作り上げたステージで魅了した。

 開会セレモニーで、同NPOの中村由紀夫理事長は「石垣の崩落などもあり、開催に至るまでの期間が短く一抹の不安もあったが、新しい試みにもチャレンジした。新たな挑戦をヒントに、今後も劇を続けていきたい」とあいさつ。

 オープニングには、かわいらしいコロポックルの踊りなどに加え、今回初めて取り入れられたプロジェクションマッピングで中空土偶「カックウ」が登場。会場は驚きや笑いに包まれた。

 これまで船が登場していたシーンでは、内堀がなく水が使えない分、船などを背景の巨大スクリーンに映して迫力満点に表現。また、客席と舞台が約15bと近く、箱館戦争の場面では、目の前で繰り広げられる殺陣に観客は釘付けになった。フィナーレは、出演者と一緒にペンライトを振り「星のまちHakodate」を合唱した。

 新たな開幕を迎え、里見泰彦事務局長は「初日がどうなるか心配もあったが天気にも恵まれ、観客も多く反応も思った以上に良かった」と安堵(あんど)の表情。しかし、来年以降の開催は、8月初旬に視察に訪れる特別史跡五稜郭跡保存整備委員会の判断に委ねられるという。里見事務局長は「私たちとしてはもちろん続けていきたい。まずは今回の公演を成功させるのが第一。チームワークで良い野外劇をつくっていきたい」と意欲を見せた。

 野外劇をめぐっては、今年3月末、舞台を設営していた内堀の石垣の一部が崩落。安全性確保のため、一時上演が危ぶまれた。しかし、同NPOは五稜郭築造150周年という節目の年であり、同所での存続を希望。舞台を移すことで、史跡を傷めないことや景観を乱さないことなどを条件に上演が決まった。公演は12、18、19、25〜27日、8月8〜10日。

提供 - 函館新聞社

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