札幌の「北清」函館進出 市産業支援センターに入居
update 2014/6/13 10:11
函館市産業支援センター(桔梗町)内のインキュベーターファクトリーに6月から札幌市東区の「北清」(川井雄一社長)が入居した。北大水産科学院動物生理学研究室の浦和寛助教(46)=水産学=と連携し、深刻化する磯焼け地域に生息する未利用資源「やせウニ」を蓄養し、生食用とするための餌料開発、製造などを手がける。
磯焼けは、道南の日本海側をはじめ、世界各地で沿岸地域の海藻群落(藻場)がなくなる環境問題で、浦助教は、海藻を餌とする「ウニの食圧」を要因の一つに挙げる。餌が少ない環境となる磯焼け地域のウニの生殖巣は食用に適さず、資源価値のない「やせウニ」となる。わずかな海藻の芽も食べ尽くすため、藻場が再生できない悪循環となり、環境悪化はウニ以外の漁業資源も影響を受ける。
浦助教はこれまでの研究で、やせウニの生殖巣を生食に適した味や色、大きさに成長させる餌料を開発。水産残さを利用し「2〜3カ月の短期間で、苦みもなく、色の良いウニにすることができる」と話す。この餌を使った蓄養技術が確立されれば、未利用資源の高付加価値化、食用ウニの安定供給に加え、海の環境改善にもつながる可能性がある。
廃棄物処理事業が本業で環境分野での新規事業開拓を進めている同社は、浦助教の研究シーズに着目し、餌料の生産拠点として同センターを市から借りた。餌料製造用の機械は今後設計に着手し、秋ごろの稼働を目指す。先行して隣接する道立工業技術センターの協力で餌料を生産し、今夏に浦助教と道南沿岸部で蓄養試験を実施する。
また、浦助教は「ウニにはこれまで知られていなかったお腹の調子を整える機能があることが分かっている」と話す。予防医療分野での将来性が見込めるといい、同社はウニ由来のサプリメント開発も函館で手がける考えだ。
同社の今村聖祐取締役市場開拓企画部長(55)は「未利用資源を利用した試みは、本業から離れたものではなく、事業を成功させたい。個人的にも好きな函館の街を活気づける一助となれば」と話している。
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