北方領土・択捉島水産会の事務所 65年ぶり函館に開設
update 2014/5/20 09:58
北方領土の択捉島で水産振興に取り組んだ択捉島水産会の事務所が、65年ぶりに函館に開設された。会員の元島民らが択捉島に持つ漁業権や不動産について、国からの補償を含めた調整を進めていくため、函館在住の駒井惇助さん(80)が活動を本格化させた。
元島民にとって、北方領土に持つ権利の補償や何らかの措置は長年の課題。同水産会は、ロシア側の実効支配でできなかった1950年の漁業権更新や補償を国に求めている。島に持つ不動産は、領土問題の進展次第で代替地の措置や補償などが必要となる。
日露首脳による領土返還交渉が進む中で、島の権利関係を整理。元島民らが所有する権利関係の文書、帳簿類、漁業関係の機材、写真などの資料は約270点に上る。
択捉島水産会は1923(大正12)年、同島の紗那に本部を、水産物の集積地だった函館に出張所を置いた。駒井さんの父は同会の役員を務め、戦後は函館で引き上げ者の生活支援や商取引の決済をしていた。函館事務所は49年に閉鎖され、以来活動が休眠状態となっていた。
領土返還運動にも長年尽力してきた駒井さんが2012年1月、同会の代表管理役に就任。自宅で同会の仕事をしていたが、4月に市地域交流まちづくりセンターの事務所ブースを借りて入居し、函館事務所とすることができた。
択捉島に権利を持つ同会会員は現在86人だが、会員の高齢化が進み、実質的に活動をしている人は十数人。紗那にあった本部の建物は一昨年、解体されたという。
駒井さんは「択捉島をはじめとする北方領土の主権回復が一番の念願で、かつてのように択捉で漁業を営みたい。一方で、領土問題解決の日に備え、権利関係の整理を進めて会員の団結を図りたい」と話している。
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