ドナルド・キーンさん講演 日記通じ啄木の人物像分析
update 2014/4/13 10:12
米コロンビア大学名誉教授で、日本文学・文化の研究分野の第一人者として知られるドナルド・キーンさん(91)を招いた講演会「日記にあらわれる啄木」が12日、函館市芸術ホールで開かれた。約40年前に来函したことがあるというキーンさんは、石川啄木没後100年記念追悼講演会と題し、函館ゆかりの啄木について、当時の日記や短歌を交えて解説。約800人の聴衆は世界的な研究者の貴重な話に聞き入った。
キーンさんは1922年、ニューヨーク出身。18歳のときに読んだ「源氏物語」に感動し、日本文学・文化に興味を持った。コロンビア大学院を経て、53年に京都大学大学院に留学。伊藤整や谷崎潤一郎、三島由紀夫ら日本を代表する作家とも親交を深めた。2011年の東日本大震災を契機に日本永住を決意し、12年に日本国籍を取得した。
キーンさんは、歌人・詩人としての啄木について、「一つの歌を練り直すことなく、即興的。不必要な飾りが無いため、歌人が本当に感じていたことが分かりやすく、信ぴょう性がある」と述べた。また、「日記こそ日本文学の最高傑作」と強調。「日記に描かれた啄木は、過去の人物に思えない。ユーモアには現代人ならではの皮肉がある」と独自の感性で指摘。函館在住時に歌った「東海の小島の磯の白砂にわれ泣きぬれて蟹とたはむる」を詠み、「最も愛した街は函館だった」と締めくくった。
キーンさんと交流の深い、啄木研究家の山本玲子さんとの対談もあり、会場は笑いと拍手に包まれた。
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