大間原発建設中止求め提訴、函館市が自治体初
update 2014/4/4 09:51
【東京】函館市の工藤寿樹市長は3日、国と電源開発(東京)を相手取り、青森県大間町で建設中の大間原発の建設差し止めを求める訴訟を東京地裁に起こした。自治体が国を相手に起こす原発訴訟は全国で初めて。原発建設の同意手続きが立地自治体に限定され、原発から最短23`の函館市に権限が与えられていない不合理性などを、司法の場に問う。
工藤市長は午後3時、河合弘之弁護士(東京)ら弁護団のほか、松尾正寿市議会議長、各会派の代表者らとともに同地裁を訪れて訴状を提出した。
訴状では国に対し、福島第一原発事故の被害が原発から30`圏内を超えたことを踏まえ、原子炉設置許可の無効を求める。原子力規制委員会が昨年7月に策定した新規制基準での安全指針の不備を指摘し、建設停止を求める。
さらに、UPZ(緊急防護準備区域)の30`圏内に原子力防災計画策定を義務付けた一方で「同意手続きを立地自治体に限定することは、立地自治体と周辺自治体を不公平に扱うことになる」と指摘。市が同意するまで建設停止を命ずるよう主張する。
電源開発に対しては、重大事故が起きた場合「地方公共団体の存立自体が危険にさらされる」と結論付け、憲法で保障される地方自治体の存立を維持する権利に基づいて建設差し止めを求める。
訴状ではまた、同原発がウランとプルトニウムを混合したMOX燃料を世界で初めて全炉心で使用する設計となっていることから、プルトニウムの毒性の強さを指摘し「重大事故が起きた場合、短時間に壊滅的被害に遭う」と主張。住民が避難する場合の避難路の脆弱さや、観光や水産など基幹産業への風評被害の可能性、テロに対する対策の不十分さなども盛り込んだ。
工藤市長らは同日午後4時から司法記者クラブで会見し、「国や電源開発に対して再三要請してきたが何もしていただけず、市民の安心・安全を守るため、やむを得ず提訴に至った。大間原発の進め方の乱暴さや地域の思いを訴え、理解を得ていきたい」と意気込みを語った。
また、河合弁護士は判決までの時期について「3年で判決をもらいたい。稼働して事故を起こしてからでは遅い」と話した。
提訴を受けて電源開発は「これまでホームページでの情報公開のほか、函館市行政当局へ適宜、情報提供や説明をしてきた中で訴訟の提起は誠に残念。訴状が届いていないので具体的なコメントは差し控える」とした。
その上で「今後の裁判を通じ、大間計画の意義や安全対策など当社の考えを主張していく。原子力規制委の安全基準、最新の知見を踏まえながら必要な安全対策を着実に実施することで安全な発電所づくりに取り組む。函館市にも丁寧に情報提供や説明をしながら計画を推進していく」とコメントした。
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