空育180号「きらら」後継期待 来春から一般栽培

update 2014/3/24 10:14


 道総研中央農試岩見沢試験地が開発した外食、中食向け道産米「空育(くういく)180号」が注目されている。「きらら397」の後継となる業務用品種で、来春から一般栽培が始まる。道南も普及見込み地帯だが、良食味米の作付け意欲が強いことから作付け動向は未知数だ。

 道産米64万トン(2012年)のうち、約半分が牛丼チェーン店などの外食、弁当やおにぎりなどの中食で消費される。きらら―は、道産の良食味米の草分け≠ニして1988年にデビュー。96年には全道コメ作付面積の63%に達するほど高かった。しかし「ほしのゆめ」や「ななつぼし」といった良食味米の増加に伴い、業務用に転身。粒のしっかり感や作業性の良さ、値ごろ感も評価されて全国的に名をはせた。

 業務用需要の高まりに対し、きらら―は全道的に作付けが減って2万5000ヘクタールを割り込む。冷害に弱く、収量がななつぼしに劣り、いもち病にも弱いという弱点があるからだ。そこで、きらら―に替わる新品種の開発に乗り出した。

 良食味の「上育455号」と、多収で冷害に強い「大地の星」を交配して誕生したのが空育180号。今年2月に道の優良品種に認定、農水省へ品種登録を出願する。

 空育180号の特徴は、牛丼に使うコメに適しているということだ。白飯食味評価では、きらら―に比べて柔らかさや粘り、味、口あたりが同等で、つや、白さは上回った。盛り付けた際においしく見えそうだ。また、牛丼適性を調べたところ、たれ通り、粒感、硬さが標準より良い結果となった。

 収量の比較では、きらら―より8%多かった。いもち病に強く、耐冷性があり、割れもみが少なく斑点米が出にくいという。

 欠点は背丈が高く倒れやすいこと、初期の分げつ(茎の本数が増える)に時間が掛かることが挙げられる。

 きらら―と置き換え道内2万3000ヘクタールの普及を見込む。渡島、桧山管内でのきらら―の作付け割合は5%以下となっており、良食味のふっくりんこ、ななつぼしに加え、減農薬米「きたくりん」の作付け傾向が強いため、普及がどこまで進むかは未定。

 道総研道南農試(北斗市)の菅原彰研究主任は「業務用米は、冷害などでいったん数量が足りなくなると他産地に穴埋めされ、そのシェアを取り戻すのは難しい。安定生産を可能とする品種が必要」と話している。

提供 - 函館新聞社

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