縄文 世界の新たな価値観に シンポジウム
update 2014/3/2 10:13
地域の縄文遺跡群の重要性を学ぶシンポジウム「環太平洋の文明拠点…津軽海峡圏の縄文文化」が1日、函館北洋ビルで開幕した。争いのない時代が1万年続き、命を大切に自然と共存した「縄文」が、21世紀の世界をリードする新たな価値観となることが指摘された。
立命館大学環太平洋文明研究センターの主催、函館新聞社など後援。世界遺産登録に向けて再度、機運を盛り上げようと開いた。
同研究センター長の安田喜憲氏(環境考古学)が基調講演。従来は1万年前とされた地球の気候変動(温暖化)が、福井県の水月湖の湖底堆積物の分析で1万5000年前と判明し、それが縄文時代の始まりと符合することを説明した。命や自然を大切にした縄文こそ「世界のライフスタイルの標準となる」とし、最古の縄文土器が北海道や青森で出土していることから、北海道から発信できることを強調した。
パネルディスカッションでは4人が登壇。立命館大学文学部の矢野健一教授が、縄文時代に津軽海峡で独自の文化圏が形成されたことを説明し、北海道開拓記念館の石森秀三館長は、この地の縄文が世界遺産登録を進める普遍的価値があることを指摘。「縄文の持つ重みを世界に知らしめる必要がある」と述べた。
NPO法人函館市埋蔵文化財事業団の坪井睦美事業課長が、南茅部の遺跡調査の報告や遺跡を生かしたまちづくり、世界への情報発信の取り組みを紹介し、笹川平和財団の高木雄次理事長が、縄文の国際的、現代史的な意義を語った。
あいさつした工藤寿樹市長は、2016年3月の北海道新幹線開業で津軽海峡圏の結びつきがますます強くなることを挙げ、「世界遺産への登録で日本の基層文化である縄文の関心が高まる。縄文を活用したまちづくりを進め、観光振興や地域の活性化につなげたい」と述べた。
2日は午前10時から市縄文文化交流センターで研究発表が行われる。
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