市長 大間提訴正式表明

update 2014/2/13 09:58


 函館市の工藤寿樹市長は12日の記者会見で、国と電源開発(東京)を相手取り、大間原子力発電所(青森県大間町)の建設差し止め訴訟を東京地裁に起こすことを正式表明した。自治体が原告になる原発差し止め訴訟は全国初。市は27日開会予定の定例市議会に、議会の同意を求める議案と、訴訟費用約400万円の新年度補正予算案を追加提出する。同市長は「議決が得られれば速やかに提訴する」と述べ、4月以降の提訴が望ましいとの考えを示した。

 大間原発は市から最短23キロの対岸に位置し、半径30キロ圏内で原発事故対策が義務づけられるUPZ(緊急防護準備区域)に市域の一部が入る。事故があった場合、遮蔽物のない函館市に被害が及ぶ危険性が高いにもかかわらず、市に対する建設の同意手続きが不要なことから、司法の手に差し止めを委ねる。全国的な関心事とするため、東京地裁に提訴する。

 電源開発は東日本大震災から1年7カ月後の2012年10月に工事を再開。今春をめどに原子力規制委員会に対し、新規制基準に基づく安全審査を申請する意向を示していることから、同市長は審査の時期とともに、全国各地の原発再稼働の状況を見据えて提訴に踏み切る。

 訴状は電源開発に対し、福島第一原発事故を踏まえ、事故が起きると自治体崩壊の危険性があると指摘、地方自治体が崩壊を防ぐ権利を根拠とする考え。

 国に対しては、原発事故前の基準に基づいて国が大間原発の設置許可を出したことを理由に、許可の違法性を主張。また、原発の同意手続きが立地自治体と都道府県に限られているため、「事故の際の不利益は周辺自治体にも及ぶ。同意手続きは周辺自治体も含むべき」と主張する。

 同市長は会見で「福島の事故を受けて政府に計4回要請してきたが、明快な回答を得られなかった」とした上で「これまで一切説明がなく、説明会を開いたこともない。さんざん無視して、都合のいい時に安全協定を結ぼうと言うのは受け入れられない」と批判。提訴時期に関しては「ちゅうちょするものはない。感覚的には年度が明けてからの方がいい」と述べた。

 電源開発本店は取材に対し「提訴前なのでコメントできない。函館市への情報提供をこれまでと同様に続けながら、計画を推進していきたい」(広報室)としている。

 大間原子力発電所(青森県大間町)の建設差し止め訴訟に関する、工藤寿樹市長と記者団との主な一問一答は次の通り。

 ――訴訟に踏み切った最大の理由は。

 UPZ(緊急時防護準備区域)の範囲に入る函館市に対して説明も同意も求めていないのに、世界で最も危険なフルMOXを世界初でやる。そういういい加減なやり方があるのか。なぜ、了解もしていない自治体が防災計画の策定を義務付けられるのか。自然災害なら分かるが、防災計画を作るのは事業者の責任だ。同意もしていないのに勝手に防災計画を義務付ける。こんなばかなことはない。

 ――国に要望を繰り返したが、止められなかったという市長の思いについて。

 政府が原発を捨てるつもりがないということを強く感じる。たった1年半で建設を続行するとは。福島の事故を踏まえると、これ以上原発を増やすのはいかがなものか。私自身、安全神話にだまされ、無関心だったと反省している1人。推進派と同じとは言わないが、責任はある。自分の世代でやるべきことではない。

 ――原発差し止め訴訟は全国の自治体で前例がないが、今後の日本の原子力政策に与える影響をどう思うか。

 裁判の結果や過程の中で、自治体でそういう動きが起きてくれば先駆けになるかもしれない。函館だけでなく、道南共通の課題。函館の動きが、全国的に勇気を持って、おのおのの立場で行動につながっていくことに期待したい。

 ――提訴の時期は3月か6月と言っていたが、3月にした一番の理由は。

 もともと3月。早い方に照準を合わせていた。6月までいくと他の原発が再稼働されるかもしれない。まず3月が妥当と思っている

提供 - 函館新聞社


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