スマートアグリ 森町に研究拠点

update 2014/1/27 10:51


 渡島総合振興局は、オランダに倣った「日本型スマートアグリ(ハイテク農業)」の研究拠点を、森町濁川地区に整備する計画を進めている。施設園芸の暖房に地熱を利用した先進地に、モデル実証ハウスを設置してトマト栽培を検討。TPP(環太平洋連携協定)交渉をにらみ、より生産性を高め、競争力のある農業を目指す。

 スマートアグリの研究拠点は道内で初めて。手始めに、2月4日に濁川活性化センターでシンポジウムを開き、産学官の研究会設置を提案。シンポには開発局や道、JA、北海道電力函館支店、道総研道南農試などから総勢50人が参加する予定で、設置後は基礎調査を行う。

 モデルハウスはオランダで開発された連棟型温室を想定。太陽光を取り入れた植物工場で、1〜2ヘクタールに約10棟(1棟当たり高さ6メートル、幅20メートル、奥行き100メートル)が連なる。熱源に地熱を使い、水や温度、湿度などは全てパソコン管理する。

 栽培実証を経て、同じ形での生産団地をつくり、作物の輸出可能性を探る。生産者が団地に移行することで、空いた農地を再編して水田や野菜の団地化も視野に入れる。

 モデル施設は、実習生や新規就農者の研修・雇用の場としても位置付け、担い手育成につなげる。

 同地区では、北電森発電所が1982年に運転を始め、83年から地熱を施設園芸に利用。しかし、配管施設の老朽化や担い手の高齢化、労働力不足などの課題があり、地域農業の将来が危惧される。ハウス土耕主体では限界に来ており、渡島農業改良普及センターの試算では遊休農地が122ヘクタール(2011年)に対し、何も手を打たないと15年後の26年には214ヘクタールに拡大。このため、地熱という条件に恵まれ、栽培技術も高い同地区でのスマートアグリ構想を考案した。

 ただ、事業開始時期や期間、財源となる補助金の活用については決まっていない。濁川を成功事例として、道内の多様なエネルギーに対応した他地域へ普及を図っていく考えだ。

 同振興局農務課の奥博嗣課長は「濁川地区の人たちが納得すれば、現在の土耕から、より生産性の高い植物工場へ移行していく。農業生産だけでなく、付随効果により農村の活性化にも結び付けたい」と話している。

提供 - 函館新聞社

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