橋りょう長寿命化で脚光 池田工業
update 2014/1/26 10:03
建設されてから数十年以上が経過して老朽化した橋りょう。国の方針で補修の長寿命化工事が道南でも盛んに行われている。その流れの中で、高い技術と環境への取り組みが脚光を浴び、北斗市中野通の塗装、建設業、池田工業(池田修社長)が工事の受注量を大幅に増やしている。池田社長(67)は「30年間培った技術でこれからも橋りょうの長寿命化を支えていきたい」と話している。
同社は1980年に創業して以来、タンクやプラント、船舶の塗装をメーンに行ってきた。それらは「重防食塗装」といわれ、道南でも手掛けることができる企業はごくわずか。道内でも施工できる企業はそれほど多くないニッチな業界だ。
重防食塗装では塗り直しをする際に一度古い塗装をはがさなければならない。その作業は、砂状の研削材を高圧で吹き付ける「サンドブラスト工法」、水を高速で吹き付ける「ウォータージェット工法」の2つが主流。同社もそれらの工法で施工しているが、環境に配慮している点が大きな特徴。
サンドブラスト工法では研削材は塗装膜と一緒に廃棄物となるが、同社はそれらを分離する機械を導入し、研削材を再利用している。廃棄物として処理するのはペンキの膜だけ。ウォータージェット工法も同様に極力廃水にならないように工夫している。「大幅なコスト削減につながっており、環境への負荷も少ない。これほどこだわっている企業は国内でも数社しかないのではないか」と池田龍哉専務(43)。
一昨年あたりから国や道、自治体が発注する橋りょうの長寿命化工事が増え始めた。同社の技術は注目を集め、下請けとして仕事量が飛躍的に増加。昨年は道内で13の橋の工事に参加した。
ペンキと研削材を分離する機械は独自の研究、開発の成果。ほかにドイツやアメリカからも機材を購入するなど設備投資意欲は旺盛だ。その理由は、約30人の従業員の平均年齢が30歳と若いことにある。池田社長は「『仕事は見て覚えろ』というような職人的な育て方はしておらず、新しい機材の導入を積極的に進めることで経験の少なさを補っている」と語る。
長寿命化工事をしなければならない橋はまだまだあり、さらに事業を拡大し、従業員も増やす考えだ。近く北洋銀行が取り扱う環境に配慮した企業が対象の私募債「北洋エコボンド」を発行し、資金を調達する計画もある。池田社長は「雇用を増やすことが地域への最大の貢献。3年後には50人まで増やしたい」と意気込んでいる。
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