職人なり手不足深刻、大工の訓練生大幅減
update 2013/11/14 10:22
全国で建設業界の人手不足が続く中、函館でも人材難やなり手不足が深刻だ。道立函館高等技術専門学院(水野司学院長)の建築技術科では、本年度の入学者が定員20人に対し7人。民間の養成機関である函館建築工業協同組合(亀田隆史理事長)でも、木造建築科の訓練生がピーク時の1割ほどに減った。工事の受注だけでなく、技術や技能の継承にも影響を及ぼすことが懸念されている。
同学院の建築技術科は、2年間で2級技能士(建築大工)の国家資格取得を目指す。2年制となった1998年度から、定員20人に対しおおむね15人以上の入学者がいたが、本年度は7人。充足率は昨年度の80%から35%まで落ちた。機械技術や自動車整備などの他学科ではほぼ定員を確保しており、建築技術の入学者不足が深刻。
同学院の入学生は8割が新規高卒者のため、少子化の影響も大きいという。水野学院長は「就職情勢が改善され、それ自体はいいことだが、就職が厳しい時代に生かせる資格や技術の取得にあまり目が向けられないようだ」と苦渋の表情で語る。
1965年に民間の職業訓練校を開設した函館建築工業協同組合では、当時は40〜50人いた大工の訓練生が、本年度は4人まで減少した。訓練生は会社勤めをしている技能士らが対象で、各事業所に要請して確保を進めている。
亀田理事長は「きつい、危険な仕事、低賃金などのイメージがあり、保護者も子どもの仕事に安全・安心・安定を求める傾向がある」と説明する。課題は賃金などの待遇改善だが、工事の受注額を上げ、職人の賃金に回せるような仕組みにならないと難しいという。
バブル崩壊後、公共工事は右肩下がりで減少し、建設業界では職人の雇用を抑制してきたが、安倍政権での公共工事増加、復興需要、消費増税に伴う駆け込み需要などで一気に職人不足が顕在化しているという。
職人の高齢化も進み、若い世代の育成が不可欠。同学院や同組合などは、子どもたちにものづくりの大切さを知ってもらう教室を長く開催している。水野学院長と亀田理事長は「ものづくりは重要な産業で、技術や技能を継承していくため、職人の養成は大きな課題。今後も地道に啓発活動を続けたい」と話している。
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